一般社団法人食品冷凍技術推進機構(FFTech、代表理事・鈴木徹氏)は、2026年度初頭にも食品用凍結装置の科学的根拠に基づいた認証制度をスタートさせる。
近年は冷凍食品の市場拡大を背景に多様な凍結装置が登場しているものの、現時点で公正な性能評価の基準は存在しない。プロジェクトにはすでに主要な凍結装置メーカーらが参画しているが、FFTechは「われわれの目的は冷凍食品の品質向上と食品冷凍技術の普及。引き続き参加企業を広く募集している。業界全体で取り組みを進めていきたい」としている。
このほど開いた記者会見の席上、鈴木代表理事(東京海洋大学名誉教授、日本冷凍食品協会理事)は「冷凍技術への注目度が高まる中で“瞬間凍結”など様々なうたい文句の凍結装置が増えている。しかし性能の客観的な指標がないため、中小食品メーカーなどで装置導入後の“期待と現実のギャップ”が起きている」とし「凍結装置の性能評価は海外でも基準が定まっていない。比較条件などが複雑で標準化が難しいからだ。われわれは日本発の世界基準を作っていきたい」と話す。
評価基準の策定には有力な凍結装置メーカー(フクシマガリレイ、タカハシガリレイ、コガサン、サラヤ、太陽日酸、前川製作所)が参画。また第三者委員会(委員長・渡辺学東京海洋大学学術研究院教授)を立ち上げ認証制度の公正性を担保している。
性能評価の手法は2軸で検討。まずは①「装置の機械性能評価」について、26年度の認証制度開始までに凍結のスピードや処理能力などの基準を策定する。もう一方は②「食品側の品質評価」で、すでに解凍時のドリップ量、解凍後の食感評価は基準が定まりつつある。残る課題として食材の氷結晶サイズの観察をさらに進め、27年度には①と②を統合した新たな評価システムの確立を目指す。
当面、試験に用いる試料は「タイロースゲル」の1種類に限定。凍結物性が牛肉の赤身に近く、日本冷凍空調学会も推奨している試料。測定データの公平性が重要なため、単一サンプルの同形状を使用する。
鈴木代表理事は「本プロジェクトは世界に先駆けた取り組みで国際的にも高く評価されている。凍結装置メーカーとユーザーのミスマッチ解消、科学的根拠に基づいた装置選択の実現、日本の食品冷凍技術の国際的プレゼンス向上に貢献したい」としている。