こうや豆腐のレジスタントプロテイン 広がる応用可能性 提唱者が課題・展望語る

こうや豆腐に含まれる健康機能成分について、さまざまな研究が行われている。その一つであるレジスタントプロテインについて、提唱者である加藤範久・広島大学名誉教授がこのほど、その概念から健康に与える影響、旭松食品の研究成果や展望について説明した。

レジスタントプロテインは、1995年のキッセイ薬品との共同研究で、そばタンパク質による血中コレステロール低下作用の発見がターニングポイントとなった。消化抵抗性があるものがコレステロール低下作用に関与するというアイデアをもとに、セーレンとの共同研究では、絹たんぱく質(セシリン)の食物繊維的な役割や、レジスタントプロテインとしての可能性を検討。セシリンの抗酸化作用や、血糖値改善効果が明らかになった。2010年頃から、レジスタントプロテインの健康機能に関する研究が活発に行われている。

旭松食品の研究では、こうや豆腐にコレステロール低下、中性脂肪低下、筋委縮予防、血糖値改善など様々な効果が報告されている。こうや豆腐に含まれるたんぱく質が、カゼインや大豆たんぱく質よりも大幅にコレステロールを低下させるという研究データがある。

さらに、オランダのグループとの共同研究では、臨床試験でこうや豆腐がヘモグロビンA1cを優位に低下させることが分かった。こうや豆腐の製造工程において、特に凍結や低温熟成がレジスタントプロテイン増加の鍵であることを示唆した。

今後の研究課題として、糖尿病、認知症、膵臓炎、慢性腎臓病などの病態マウスを用いた健康試験を提案。特に大腸炎モデルがホットな分野であり、大腸環境を改善する食品成分の特定が重要。長期試験や臨床試験の実施、こうや豆腐の難消化性たんぱく質の同定、こうや豆腐以外の食品への応用、機能性を高めたこうや豆腐の開発などを提案した。

最後に、ヨーロッパの研究グループがレジスタントプロテインのレビュー論文を発表し、たんぱく質の構造と消化性の関係について詳細を解説。疎水性の高いたんぱく質が消化されにくいという特徴に注目して、医療科学と食品工学の融合が重要であると述べた。