キユーピー・フードサービス部門 成長市場へサラダ・ソースを拡充 家庭用との連携も強化

キユーピーのフードサービス部門は、12月にスタートした11次中期経営計画のもと、初年度は「サラダファースト」「マヨネーズ発売100周年」「ソースワールド」をテーマに成長戦略を推進する。

山田秀春執行役員販売戦略本部フードサービス販売統括は「中計のキーワードは『Change&Challenge』。10月21日付で開発から販売までよりシンプルな組織に一新するとともに、当社の強みである提案力を若い世代にも継承し磨いていく」と語った。

24年度の業務用事業は、第3四半期累計(23年12月~24年8月)で売上高103.1%、営業利益313.6%。市場が回復した外食、インバウンドが追い風のホテルなど各業態の旺盛な需要に応えた。特にタマゴ製品は前年発生した鶏卵の供給不安が解消されて拡大。人手不足も背景に、凍結卵の提案強化が奏功したほか、完全調理品のスクランブルエッグも大幅増だった。タマゴ加工品は今秋に外食業態で“月見商戦”が例年以上に活性化したこともプラス材料。デリカ、ベーカリーも堅調。

商品カテゴリー別は、調味料は24年春の新商品「具たっぷりソース」が市場のニーズに合致し外食、ホテル、デリカなど幅広い業態で採用された。調理食品では24年秋に発売した「ドレスアップソース」が好スタート。シェフのような手作り感や彩りが評価され、主要ターゲットのホテルなどに広く導入されている。

当面のフードサービス市場を取り巻く環境について、山田執行役員は「共働き世帯や単身世帯の増加などで食の多様化・外部化が一段と進み、外食・中食とも成長が期待できる」と展望する。

一方、今後予想される変化へ機動的に対応するため、10月21日付で組織変更を実施。従来は分かれていた家庭用とフードサービスを統合した横断的な組織に改め、商品の開発や育成を担う「マーケティング本部」、販売を担う「販売戦略本部」をそれぞれ新設した。「家庭用とフードサービスの連携を強化し、商品開発、販売とも相乗効果を見込む」(山田執行役員)。

25年度は3つのテーマに注力。「サラダファースト」をメッセージに掲げ、サラダのことを最も大切に考える企業として「サラぱん」「パワーサラダ」などを具現化していく。

25年は同社が製造・販売を始めてから「マヨネーズ100周年」の節目を迎える。フードサービス部門として、新商品の発売を予定するほか、得意先への大規模な認知啓発活動、業態別にマヨネーズメニューの創出――に取り組む。また「ソースワールド」への挑戦と銘打ち、新たな切り口のソース製品を投入し領域の拡大を目指す。調味料と調理食品の技術を活用した展開を軸に、「具たっぷりソース」と「ドレスアップソース」に続く第3弾商品を来春にも発売予定。

中計では同社の強みである提案力のレベルアップにも着手。成功事例やノウハウなどベストプラクティスを若い世代に継承する仕組みを作り、さらに磨いていく方針。