兵庫県手延素麺協同組合が生産する「揖保乃糸」は、8月27日に農林水産省より地理的表示(GI)に登録された。
兵庫県の揖保川流域の肥沃な土壌を背景に、約600年にわたり伝統的な製法を受け継いで高品質な手延素麺を造り続けており、業界№1の生産量を誇る。井上猛理事長は「国内の消費者に改めて『揖保乃糸』の価値を伝えながら、海外の市場開拓にも注力したい」などと語った。今後は製品パッケージなどでGIマークを訴求予定。
GIは各地域で育まれてきた品質や評価を有する農林水産物・食品のブランドを保護するもの。兵庫県手延素麺協同組合の「揖保乃糸」は、素麺づくりに適した環境のもと、「厄」と呼ばれる専用倉庫での熟成方法を行ってきたほか、明治27年(1894年)には統一基準による製品検査と等級分けを導入、「揖保乃糸」ブランドとして常に先進的な取り組みで品質向上を図ってきた。現在では、ゆでのびしにくく滑らかな舌触りとコシのある歯切れの良い食感は世間でも広く知られるところ。
農水省の舞立昇治農林水産大臣政務官にGI登録証を授与された井上理事長は、自身が理事長に就任した2001年頃からの取り組みを回顧。「まずは安全・安心な製品を追求するため、当時約500軒(現在約400軒)だった生産者とともに品質管理のレベルアップを徹底した。また乾麺の市場が縮小傾向にあった中、多様な消費者ニーズに応えるべく、定番の『特級』『上級』にとどまらないラインアップの強化(内麦使用・ひやむぎ・中華麺・パスタなど)も推進、店頭の売場づくりに注力してきた」と説明。
また海外戦略を振り返り「05年頃からアメリカ、東南アジア、ヨーロッパなどのイベントに参加し、世界で『揖保乃糸』の価値訴求に取り組んだ。直近の24年秋は韓国、台湾、バンコク、ロサンゼルスでGI登録された『揖保乃糸』をアピールしていく」と話した。