地域の食を守り、新たな需要を創出

7月に入り、能登半島地震から半年が過ぎた。能登の復興はまだまだだが、能登・北陸の食文化を支えるメーカーの生産が順次復活している。

▼石川県金沢市のカナカンが7月4~5日に展示会を開催。能登や北陸の応援企画など、それらの商品などを求めて多くの小売流通が来場し、活気があった。カナカンの谷口英樹社長は「地域の食を守ることが使命」とあらためて強調した。会場の始めには能登復興応援コーナーを配し、被災した七尾市のスギヨがボード等で北陸工場再開を訴求した。一方、大手コンビニはスギヨのカニカマ使用のおにぎりを復興応援商品として販売するなど、積極的な業界の取り組みもある。

▼能登は酒作りも盛んで、能登にある11の酒蔵は被災し醸造できなくなったが、「能登の地酒を守る」思いを共有したのが同じ石川県内の酒蔵だ。酒蔵を提供し、能登の酒蔵とのコラボ酒を開発した。関係者は「まずは一歩前に進んだ」と評した。

▼今回、能登の地酒を守るための行動が、蔵同士の初の共同醸造から新たな酒作りにつながった。地域の食を守る取り組みが新たな需要を創出した好例と言える。