飲料 1ℓサイズが拡大 持ち運びニーズもつかむ

ペットボトル飲料の1ℓサイズ(900㎖~1ℓ)が家庭内の飲用シーンと家庭外の持ち運びニーズの両方に対応して拡大している。地球温暖化により暑熱環境にさらされる機会が増えていることを背景に、コストパフォーマンスを念頭に水分補給したいニーズの高まりが拡大の要因とみられる。

今年、ミネラルウォーターで大きく動きだしたのは「サントリー天然水」(サントリー食品インターナショナル)。1ℓサイズの容器を持ち運びやすい形状に刷新して5月28日に発売開始した。

リニューアルでは、家庭向けの中容量サイズという考え方から、一人でたくさん飲みたい人向けの「パーソナル大容量」という考え方へと発想を転換。実際にユーザーの声からも、たくさん飲みたい時のパーソナル用途としての飲用が増加していることが浮き彫りになったという。片手で持って直接飲用しやすく、リュックのサイドポケットなどにも入れて持ち運びやすい胴径・形状へと磨きをかけた。

サントリーの佐藤匡ブランドマーケティング本部課長は「そもそも『サントリー天然水』の飲用量が少しずつ増えているが、特に1ℓの調子がいい。500㎖や2Lとカニバリを起こすことなく、1ℓのお茶などからの流入の動きもみられることからNBとしてコスパがよいものに受け止められている可能性がある。朝に多く買われる傾向も見られ、オフィスなどに置かれ1日かけて飲まれていることが推察される」と語る。

スポーツドリンク売場でも同様の動きが強まっている。「ポカリスエット」(大塚製薬)は近年、900㎖が伸び盛りとなっている。

「家庭内外の両方でご愛用いただき、大変好調。特に昨年末から伸びが著しくなり販売数量は毎月二ケタ増で推移している」と述べるのは、大塚製薬の岩﨑央弥(なかや)ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー。

900㎖が伸長している理由については、持ち運びのしやすさと、家庭の冷蔵庫の冷蔵スペースが冷凍スペースに圧され手狭になっているとの仮説を挙げる。
「お宅訪問調査では、冷蔵庫の半分が冷凍スペースというご家庭もあった。冷蔵スペースが限られる中でサイズも重要」との見方を示す。

「アクエリアス」(コカ・コーラシステム)は、コンビニエンスストア限定の950㎖サイズが好調に推移。今後も強化の構えを見せる。

日本コカ・コーラの川瀬保菜未マーケティング本部スポーツ事業部シニアブランドマネジャーは「『綾鷹』など他のブランドの950㎖サイズはシェアされて飲まれる傾向にあるが、『アクエリアス』は完全に自分用に飲まれる。スポーツ時やサウナ時に飲まれる方が多いようで、非常に好調となっている」と説明する。

(6月17日付本紙に「スポーツ・機能系飲料特集」)