失業率上昇し給料ぎりぎりの生活が増加 インフレ進む米国市場で勝ち抜くためのセブン⁻イレブンの4つの優先事項とは?

 北米でCVS(コンビニ)事業を展開するセブン‐イレブン・インク(SEI)は、インフレが急速に進み失業率が上昇傾向にある米国市場で1ドルごとに得られる価値を高めていく。

 米国市場を取り巻く環境について、4月23日開催した「IR Day2024」でSEIのジョセフ・マイケル・デピントCEOは外部データを引き、物価が2020年3月と比べて20%以上高騰していることや失業率が上昇し今年3月に失業者が180万人に上ったこと触れ「物価高騰の影響をさらに被っているのが低所得者層。今、米国の人口の63%が給料ぎりぎりの生活をしている」と説明する。

 このような環境から、現在、米国のコンビニに求められるのは「高品質で手頃な商品」と分析。NBからPBへのシフトも進んでいることも指摘する。

 消費者が価格改定を受け入れにくくなり小売店の売上高を圧迫するインフレ時代に勝ち抜くべく、SEIが打ち出す優先事項は以下の4つ。

 ――オリジナル商品の強化
 ――デジタル・デリバリーの促進
 ――21年に取得したスピードウェイ社との統合シナジーの創出
 ――店舗網の拡大と強化

 オリジナル商品は、サンドイッチやドーナツなどのフレッシュフード・専用飲料・PB商品の3カテゴリで構成される。オリジナル商品の商品売上構成比を23年の22%から25年に34%へと高めることで商品荒利率を改善していく。

SEIのジョセフ・マイケル・デピントCEO - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
SEIのジョセフ・マイケル・デピントCEO

 オリジナル商品の中で最も注目するのがフレッシュフード。
 「わらべや日洋のデイリー工場などから革新的なデリバリー専用商品を投入し品揃えを拡大していく。店内焼成ベーカリーの商品やグリル、ホットフードのケースなどを導入していく」との考えを明らかにする。

 店舗の品揃え強化に加えて、オンデマンド型宅配サービス「7NOW」の拡大に伴いフレッシュフードの成長を加速させていく。

 現在、983店舗でレストランを併設。「レストランも食品・飲料事業の拡大に一役買っている」という。

 専用飲料は、スペシャルティコーヒー(アイス)やコールドブリュー、「スラーピー」と称するフローズンドリンクなどを品揃えする。加えて「コーヒーでは地域の嗜好にあわせたブレンドの導入を行い、食品とのセット販売で提供している」。

 PB商品は10億ドルの売上規模に拡大。
 今年は「1ドルごとにたくさんの価値を提供できるようお客様の嗜好にも合うような商品を展開していく。新たに215ものPB商品を投入していく予定」と述べる。

 デジタル・デリバリーの取り組みでは「7NOW」を拡大していく。
 「業界トップクラスの平均配達時間28分でお届けでき、1万3000もの実店舗が流通拠点となっている。これこそがSEIに競争優位性をもたらし、昨年は既存店売上げで25%成長して今も成長を続けている」とし25年に10憶ドルの売上目標を掲げる。

 スピードウェイ社には、SEI独自の小売システムを導入してさらなるシナジーを創出していく。
 店舗網の拡大は、自力での拡大ほかM&Aを積極的に検討していく。

 「米国トップ10コンビニチェーン合計の市場シェアはわずか19.1%に過ぎない。さらに米国では業界の63%が10店舖以下の小規模事業者で構成されており、このような細分化構造はさらなる統合に向けた大きな機会であり今後も積極的にM&Aに関与していくつもり」と意欲をのぞかせる。

 新店舗の開発にも取り組む。

 現在、セルフレジやレストランなどの最先端プラットフォームを実験的に導入したエボリューションストアを展開。新店舗では、エボリューションストアの要素を大規模に取り入れ、より広い敷地にガソリンスタンドを併設したものとなる。

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