日清食品はこのほど、全国農業協同組合連合会(JA全農)と連携を深める一環で、秋田の米生産者との交流プロジェクトを秋田県大仙市の圃場で行った。
当日は関係者約40人が参加して田植えを実施。両者は「日清カレーメシ」の原料米などで取引関係にあるが、深井雅裕常務サプライチェーン本部長兼Well-being推進部長は「物流以外の領域でも新しい価値を生み出せないか議論を重ねている。田植えを通じてお互いの理解が深まり、取り組みが深化していくことを願っている」と話した。
日清食品とJA全農は昨年10月31日、共同物流や資材調達などに関する包括的な連携協定に調印。その中で「食と農にかかわるすべての人々のWell-beingの実現を目指す」をテーマの一つに掲げている。今回のイベントは、日清食品が生産地や生産者を深く理解する必要があると考え、「稲作生産者と交流したい」との意向をJA全農に伝えたところ、加工用米の取扱量も多いJA秋田おばこの協力が得られて実現した。
開催に先立ち、地元農家ら関係者は「大曲の花火」で有名な大仙市ならではの打ち上げ花火で歓迎。JA全農の高尾雅之常務理事は「JA秋田おばことは加工用米の長期契約を初めて締結し、日清食品をはじめ多くの取引先に供給している。日清食品とは原料米に限らず、例えば『でんぷん』や『具材』など国産の農畜産物で取り組みを広げていける可能性を感じている」とあいさつした。
田植えは日清食品から深井常務を含む11人ほか、JA秋田おばこ、JA全農本所、JA全農秋田県本部の関係者が参加。約1haの圃場に「あきたこまち」の苗を田植え機と手植えで次々に植えていった。
初めて田植えを体験したという深井常務は、田植えや稲を育てることの労力を引き合いに出し、「『日清カレーメシ』など商品として食べる時間はわずかだが、原料の米がどうやって作られているかを知ることで商品に対する思いも変わってくる。本当にありがたいと感じた」と話した。
次回の交流プロジェクトは未定だが、今後はJA秋田おばこに限らず、他の産地や農作物の生産者らとも交流を深めていきたい考えだ。
なお日清食品はJA全農と物流領域でトラックのラウンド輸送を実施。想定された効果(実車率+12%、拘束時間▲7%、積載率+9%、CO2排出量▲17%)が創出されているという。今回の生産者交流プロジェクトなどを通じ、同社が目指す「ステークホルダーのWell―beingの実現」に資する取り組みも推進する。