低温物流大手のニチレイロジグループ本社は、次世代輸配送システム「SULS(サルス)」を拡充する。関東のゲートウェイ(GW)機能を増やして東北・静岡・新潟への新路線を順次開通させ、荷台部分が切り離し可能な自社トレーラーを今年度末までに50台に増やす。嶋本和訓社長は「(トラックドライバーの残業時間を規制する)『物流の2024年問題』への適切な対応を推進する」とした。
「サルス」は荷積み・荷下ろしなどの作業をトラックドライバーではなく拠点側で行えるため、ドライバーの拘束時間短縮と負荷軽減を実現し、トータルの運行時間も大幅に短縮できる。
まずは東名阪を中心に拡充しており、このほど他社アセットを活用して北関東にGW機能を追加。同拠点から4月に東北方面、上期中(予定)に新潟方面、既存の厚木GW(22年稼働)から静岡方面に新路線が開通した。また現状は首都圏エリア発の配送が多い。今後は大阪のGW機能も生かし、西日本エリアから上りの集荷拡大も図る。
一方、リテール事業に向けた低温物流の提供価値を強化する一環で、東北エリアを包括する商品供給網を構築する。北関東・東北に有する12拠点をつなぐ物流網を中心に、他社のアセットも活用して対応エリアを順次拡大、同地区全域に納品できる体制を整える。嶋本社長は「本ネットワークは『エヌエルリンク』と銘打ち、東北から関東、西日本と全国に広げていく。24年問題を機に卸、メーカーとも小売業の専用センターに納品する車両の確保がますます難しくなると予想されるが、当社のソリューションで顧客課題の解決に貢献する」。
前3月期の連結業績は売上高2千574億円(前年比5%増)、営業利益158億円(5%増)と増収増益。うち、海外事業が売上高711億円(12%増)、営業利益36億円(48%増)と伸び幅が大きい。主力の欧州はインフレによる消費減退が影響したものの、新規拠点の安定稼働と付加価値サービスが増大。アジアはタイ・マレーシアの新規連結子会社化で事業エリアと規模の両面を拡大。物流ネットワーク事業は売上高1千186億円(4%増)、営業利益65億円(6%増)、地域保管事業は売上高638億円(2%増)、営業利益74億円(前年並み)だった。
24年度は海外で新施設が相次ぎ稼働する。ポーランドでズニン冷蔵倉庫の増設(7月)、ワルシャワ冷蔵倉庫の新設(第4四半期)、タイで北部ナワナコン工業団地内に冷蔵倉庫の新設(25年春)、ベトナムでロンアン省に冷蔵倉庫新設(7月)を予定。