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2025 / 11 / 13 木曜日
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その他防災尾西食品 市川伸介社長 「総合非・常食企業」目指す 来年4月に宮城新工場を竣工
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

尾西食品 市川伸介社長 「総合非・常食企業」目指す 来年4月に宮城新工場を竣工

尾西食品の代表取締役社長に4月1日付で前専務取締役営業本部長の市川伸介氏が就任した(営業本部長は継続)。市川氏は1983年9月に米を主原料とする亀田製菓に入社し、米菓の販売、購買部で米の仕入れや新規事業の販売に携わり、2013年にアルファ米の尾西食品をグループ化したと同時に尾西食品に出向(営業本部副本部長)。以来、営業畑、企画畑をテリトリーとし、2014年取締役、19年常務、21年専務を歴任。両社を通じて米(米菓、アルファ米)に携わってきた。

内示を受けて「正直、まったく想定していなかった」としながらも、「私を推してくださる方がおいでになったからの結果であり、期待に応えていかなければならない」とし、社長を引き継いだ。

現在の販売先は官公庁・自治体などが全売上の約1/3を占め、約1/3をECなどネット通販が続き、残りを一般企業や学校、大学、病院などで構成している。古澤紳一前社長はマーケティングを強化する中でネット通販や小売流通などにチャネルを広げ、今日の成長を支えてきた。「ネット通販にも弱点がある」と市川氏。「災害発生時は需要があるが、災害が起こらないと厳しい。この波動の中で安定需要を確保し、会社をどう伸ばすかが課題」とみている。それには「現状のアルファ米をどう伸ばすかと同時に、将来を見通して新たな取り組みも必要」。

1935年に創業し、当初は軍用食としてスタートし、戦後は栄養補助食品、その後は旅行携帯食、アウトドア用などを経て1995年の阪神淡路大震災でアルファ米が非常食として認知。「乾パンが主流だった非常食市場の中でアルファ米が反転する機会になった。アルファ米の用途の変遷により、ここまで存続したことを考えると、アルファ米は奥深い可能性を秘めている」と振り返る。

昨年から電子レンジで調理する「尾西のレンジ+(プラス)」を発売し、普段使いできる防災食を目指す一方で、アルファ米の認知拡大だけではなく、新たな用途の啓発も重視。「軽量や長期保存、高品質などの利点を生かせば活用の場が広がる」。海外展開も模索しており「まだ手をつけていない部分もたくさんある」。さらに「携帯おにぎり」や「ひだまりパン」「ライスクッキー」、今年から発売した介護者向け「ムース」などの広がりも重視。「これらの分野でシェアを取れば、まだ伸びる余地は十分ある」。この根底には利便性を付加した商品による「総合非・常食メーカー」という概念があると言う。

折しも今年1月1日に能登半島地震が発生し、企業系やネット系の特需が発生。「自治体などへの納品と重なり、納品遅れや欠品が発生するなどご迷惑をかけた」。しかし1月以降、単月売上は過去最高を更新し、この効果があって3月期売上は過去最高を達成。交通寸断による支援遅れや避難所の非常食、資材不足などの問題が発生したことも事実で、「いざという時に供給できなければ非常食メーカーとして使命を果たせない」とし、来年4月にはアルファ米の新工場竣工を計画。

「ち密な計画を立て実行に移すのが苦手で、まずは動きながら考えるタイプ」と己を分析。同じ新潟県人の山本五十六の「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」「率先垂範」を座右の銘としながらも、自身ではギターを趣味として、3月には社員とバンドを編成し、ライブ演奏を披露したという一面もある。

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