亀田製菓、構造改革の効果じわり 重点4ブランドの基盤整い「ミライベイカ」提案 生産協業体制も推進

亀田製菓の髙木政紀社長COOは、このほど取材に応じ「上期(3月期)は非常に厳しい状況にあったが、昨年11月頃から構造改革の効果が徐々に表れ始め、今期については残り3月までお客様の需要にどこまで応えられるかがカギとなる」と語った。

同社は昨年、主力の国内米菓事業で1月から順次実施した価格改定後の需要予測で見誤り、サプライチェーンに乱れが生じた。価格のみならず価値の見直しを伴って実施したところ想定を超える需要が発生し、商品供給が非常にタイトとなった。

これを大いに反省し23年上期からはさらなる構造改革に着手。「亀田の柿の種」「ハッピーターン」「亀田のつまみ種」「無限シリーズ」の重点4ブランドに集中し、低稼働ラインの整理・集約を行い稼働率を高めた。

髙木政紀社長COO(亀田製菓) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
髙木政紀社長COO(亀田製菓)

「サプライチェーンが非常に乱れた中で、われわれの適応力の弱さが露呈した。われわれの強みを改めて探るべく、これまで培った技術力をもう一度棚卸しして取り組んでいる。苦しかったが、前例踏襲型のビジネスモデルを変える良いきっかけになったと思っている」と振り返る。

今後も引き続き重点4ブランドに注力する。さらに、重点4ブランドで得られた収益を未来につながる米菓「ミライベイカ」の開発に充てる。

同社は昨年8月、「亀田グループ中長期成長戦略2030」を発表。同社が強みとする米の加工技術を磨き製菓業から米業(こめぎょう)へとシフトしライスイノベーションカンパニーとして世界に打って出る考えと、国内外で自前主義を見直し新しい協業モデルを構築していく方針を明らかにした。

米菓そのものもライスイノベーションに挑む。

「ミライベイカ」の一例に「お米屋がつくった」シリーズの「焼かりんとう黒糖」や「ぷれっつぇるチーズ」などが挙げられる。

今後も「米菓カテゴリーの概念を超えた生活シーンに寄り添った商品を準備し順次市場に投入していく。高付加価値・健康価値・食事代替など様々な切り口で米菓をあらゆるジャンルのものに変えていきたい」と意欲をのぞかせる。

高付加価値商品の「ハッピーターンズレモンケーキ仕立て」。直営店で期間限定で発売 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
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生産協業体制については、「人材確保も厳しい環境下で米菓業界各社の生産協業によって稼働が安定することで従業員が定着していけば、品質や安全性もどんどん高まる。そういう意味でもお互いの製造設備を使い合うことは非常に大切なこと」との考えを示す。

同社の呼びかけに、現在二ケタの企業が賛同している。

「われわれもとても勉強になり非常に有難いことだと感謝している。これからは海外勢と対峙していかなければならない。日本固有のクオリティーの高いお菓子の力を保持して世界で戦っていくことになり、その時に米菓カテゴリーの中で生産協業体制が強くなっていれば、着実に進んでいける」と述べる。