穀物相場は落ち着きを取り戻してきたが、気候変動や地政学的リスクが増している。油脂業界の新年会でも、昇り龍のごとく飛躍の年にという期待感の一方、先行きを警戒する声も多く聞かれた。
▼ウクライナ問題は来月で丸2年となり、イスラエルとハマスの軍事衝突も激化している。欧州の干ばつでオリーブオイルが高騰し、中米ではパナマ運河の水位低下が船舶の航行に影響を及ぼしている。スエズでは反イスラエル武装勢力による自動車運搬船の拿捕をきっかけに、欧州―アジア航路は喜望峰ルートへの変更を余儀なくされ、海上運賃は上昇傾向にある。
▼米国の大統領選をはじめ、今年は世界各国が選挙イヤーで「風向きを注視する必要がある」(商社関係者)。環境政策や保護主義など、サプライチェーン強化を目的とする各国の独自規制の増加は、貿易取引の拡大や多角化を阻害しかねない。
▼日本でも食糧安全保障の観点から、食料・農業・農村基本法の見直し検討が進められている。自給率向上に向けた取り組みとともに、輸出国とのパートナーシップや急変時にも耐えうる弾力的な価格形成のあり方も問われる。