テーブルマーク 松田要輔社長 パーパス実現にまい進 50周年「冷凍うどん」注力

1991年に前身の加ト吉(当時)に入社して以降、営業・マーケティング・商品開発・事業企画など様々な部門に所属し知見を積み上げてきたテーブルマークの松田要輔社長。そうした経験を踏まえ、自身の強みは「物事を一方からではなく多方面から見れることではないか」と分析する。

前任の吉岡清史氏(21~23年)から24年1月1日付で経営トップのバトンを引き継いだ。「(吉岡氏について)人びとの生活スタイルが大きく変わった激動の3年間、新規事業を中心に多くの種を蒔いていただいた。それらが芽を出しつつあるので一日も早く大きな花を咲かせていきたい。引き続き業界を取り巻く環境は厳しいが、変化に対応できる柔軟性とスピード感を持って経営を担っていく」との意気込みだ。

近年、同社は中長期の経営テーマ「技術に立脚した顧客価値を創出し、市場創造に挑戦し続ける」を掲げる。また23年にJTグループの加工食品事業として「食事をうれしく、食卓をたのしく。」をキーメッセージにパーパスを制定、その実現にまい進している。

24年は主力の「冷凍うどん」が発売50周年を迎える。大きな節目を控え家庭用では昨年から素材麺の「さぬきうどん 3食・5食」と「丹念仕込み 本場さぬきうどん 3食」が販売好調だ。トップメーカーとして、今年は周年の記念施策でさらなる活性化を目指す。

一方、2年目を迎えた新規事業「BEYOND FREE」ブランドにも注力。松田社長は「現代の多様な食生活のニーズに応えるべく、これまでにアレルゲン不使用、米粉麺、おからこんにゃくなどの製品を上市したが、今後も開発を強化していく。パーパスを実現するためにも『BEYOND FREE』の育成は不可欠」と力を込める。

また海外事業の拡大を推進。「現状は主に北米へ冷凍うどんやパックご飯を輸出し、直近はお好み焼の取り扱いも始めた」とし、「国内はこれから人口減少の加速が想定され、海外に市場を求めていく必要がある。今後は新たな地域への進出も検討するなどし、自身が任期中に成長の道筋をつけたい」と展望する。

松田氏は20年1月、執行役員営業副本部長として約14年ぶりに営業部門に復帰した。以降は21年1月から常務執行役員営業副本部長、23年1月から同営業本部長を歴任。「復帰当初はブランクの長さを感じたが、直近4年間でお取引さまにも広く顔を覚えていただけた」と手応えを話し、「これからは社内外ともに自身の声を届けていける社長になっていきたい」と語る。

一方、30年余りの社歴を振り返り「印象深い思い出はたくさんあって語りきれない」としながらも、「当社の製品を食べて笑顔になった方々を見るのが一番うれしい」。特に長く担当した業務用には思い入れが強く、「(外食店などで食べた際に)今でも家族に自社製品であることを話すと驚かれる。これからもお客様の期待を超えられるような製品を提供していきたい」と自身も笑顔をのぞかせる。