森永製菓、ココアの情緒と機能を訴求 「ミルクココア」でココ育 「カカオの力」は“血流改善”と“腸活”をより大きくデザイン

森永製菓はココアの需要期である秋冬に向けてココアの持つ情緒と機能の両方を訴求していく。

取材に応じた溝井敦営業本部菓子食品営業部食品営業グループ課長は「主に情緒の訴求は100年を超える歴史に裏打ちされたロングセラーの『ミルクココア』が担う。一方、機能の訴求は2022年から機能性表示食品となった『カカオの力』が担う」と説明する。

「ミルクココア」では「お子様がココアをスプーンで量って温めた牛乳に混ぜる過程が食育としてお子様の成長にプラスになるといったことや、親と子をつないでいくことを発信し直していく」との考えのもと、9月に専用サイト「ココ育」を新たに立ち上げ、子どもが好きなだけでなく育児にもお役立ちできる飲み物として訴求している。

「ココ育」のメッセンジャーとして新たに考案したキャラクター「コマグちゃん」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ココ育」のメッセンジャーとして新たに考案したキャラクター「コマグちゃん」

「ココ育」では、ポップピアニストのハラミちゃんが手掛けた「ココ育」のテーマソングを公開しているほか、「ココ育」のメッセンジャーとして新たに考案したキャラクター「コマグちゃん」を活用して盛り上げを図っている。

テーマソングについては「サウンドロゴのように耳から入る情報は非常に伝播力がある。歌詞にはココアを作る過程を織り交ぜていただいており、口ずさみながら作ってもらうことも想定している。小さいお子様に覚えていただいて、親御様にもアピールしていきたい」と期待を寄せる。

「コマグちゃん」はパッケージやキャンペーンに活用する。

「ミルクココア」のパッケージは「コマグちゃん」を大きくあしらって刷新。裏面も、作り方の説明をわかりやすく記載したほか、二次元コードをあしらい「ココ育」への誘導を意図して改めた。

キャンペーンは、10月から一部店頭で「コマグちゃん」のマグカップを景品に用意し最需要期に突入する12月には加刷したパッケージに順次差し替えてナショナルキャンペーンを展開している。

「大人のためのミルクココア」(森永製菓) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「大人のためのミルクココア」(森永製菓)

「ミルクココア」で大人層を開拓すべく、秋冬限定スポット商品として「大人のためのミルクココア」を10月に新発売した。

同商品は、同社初のラムフレーバーとなる。

その狙いについて「『ミルクココア』に対して特に大人の方がネガティブに受け止める甘さに対応した。少し甘さは控えめにしつつ、少し大人っぽい感じで楽しんでいただけるように、ラムの香りでリラックスできる仕立てにしている」と語る。

「カカオの力」もパッケージを刷新し、“血流改善”と“腸活”のアテンションをより大きくデザイン。これにより機能性表示食品化で取得した、血流改善(末梢の血流を改善し手先表面を温かく保つ)と「腸活(カカオリグニンが便通の気になる方のおなかの調子を整える)のダブルヘルスクレームの訴求を強化する。

売場に並ぶ「カカオの力」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
売場に並ぶ「カカオの力」

「ダブルヘルスクレームに的を絞り込むため、引き算の発想で重複する内容やそのほかの情報を極力省いた。訴求のポイントをしっかり整理した」と述べる。

「カカオの力」のコミュニケーションは、クレオパトラ風の女性が登場するWEB広告を用意している。“ずるいわ、現代女性”をキャッチコピーに、おいしさとダブルヘルスクレームを訴求していく。

「機能性表示食品の嗜好飲料の多くはヘルスクレームが1つであるのに対し、『カカオの力』は2つあるのが強みだと思っている。ある意味、欲張りな仕立てになっており、クレオパトラが“現代女性は2つの機能が簡単に手に入れられて、うらやましい”とくやしがる内容になっている」という。

このほか「カカオの力」ではSNSでのプレゼントキャンペーンを12月1日から2024年1月31日までの応募期間で実施している。

アテンションを加刷して溶けやすさの訴求を強化したスティックタイプ(「ミルクココア」) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
アテンションを加刷して溶けやすさの訴求を強化したスティックタイプ(「ミルクココア」)

スティックタイプは、アテンションを加刷して溶けやすさの訴求を強化。「スティックが支持される理由は手軽さ・簡便性にあり、溶けやすさが1つのポイントになっている」とみている。

昨年、新規ユーザーを拡大して好調となった「白いダーススティック」も継続販売していく。「今年は『ダース』ブランドが発売30周年であることから、30周年の販促と連動してアピールしていく」。

インテージSRI+によると、22年4月から23年3月のココア市場は前年比1.8%減の107.9億円。同期間の森永製菓の販売金額は1%減となり、市場・森永製菓ともに前年を下回る結果となった。

「昨年は気温が例年に比べ低かったこともあり10月から12月までの3ヵ月間だけ前年を越えることができた。需要期に多く飲まれたのは良い兆候」と振り返る。

森永製菓の溝井敦営業本部菓子食品営業部食品営業グループ課長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
森永製菓の溝井敦営業本部菓子食品営業部食品営業グループ課長

森永製菓の今期(3月期)滑り出しは上昇基調にある。インテージSRI+によると、4-7月は市場が109.2%となる中、森永製菓は105.2%で着地。

3月1日出荷分から「森永ミルクココア」は300gから240gに減量し、「牛乳で飲むココア」は200gから180gに減量した影響はあるが、「カカオの力」が44.6%増を記録し全体を牽引した。

減量に踏み切った中でも「牛乳で飲むココア」については「4-7月の販売店あたりの販売規模(個数)が8.8%増を記録。栄養補助や機能性を訴求した春のプロモーションが功を奏して市場をけん引、お客様のココアに対する購買についても上昇基調にある」との見方を示す。

8月8日にはテレビ番組でココアが取り上げられたことで市場が活性化。森永製菓では放映のあった週は前年同週比「純ココア」が2倍強、「カカオの力」が3倍強と跳ね上がった。