明治ホールディングスはこのほど、都内で乳酸菌研究に関する成果発表会を実施。明治保有「乳酸菌OLL1073R-1株」が産生する菌体外多糖(EPS)が、がんに対する免疫チェックポイント阻害薬(免疫反応を賦活しがんの退縮効果をもたらす)の治療効果を高めるメカニズムなど、最新の研究成果を報告した。
パスツール研究所免疫学部門教授のジェラール・エベール博士は、「乳酸菌OLL1073R―1株」が産生する菌体外多糖(EPS)とがん治療薬の併用で、治療薬が効きやすくがんの完全奏効率が3.5倍増加し、治療薬が効きにくいがんの場合も3割の個体で腫瘍の増殖を抑えたとする研究成果を報告。
慶應義塾大学薬学部創薬研究センターの金倫基(キムユンギ)教授は、「LB81乳酸菌」が、「腸管バリア」のうち腸管上皮細胞などが有害な微生物を殺菌する攻撃機能の「化学的バリア」を増強するメカニズムを報告した。
腸は口を通して外界につながるため「内なる外」といわれ、全身の健康を守る「腸管バリア」が重要な役割を担う。バリア機能が低下し異物が体内に侵入する「腸もれ」が起こると様々な健康疾患につながる可能性から「物理的バリア」「化学的バリア」「微生物学的バリア」の3つが正常に働くことが重要という。
冒頭あいさつで、明治HDの川村和夫社長は「50周年を迎えた明治ブルガリアヨーグルトは、今や日本を代表するロングセラーに成長できた」とし、今年7月にブルガリア共和国名誉領事に就任したのを機にブルガリア共和国と一層関係を深める方針を示した。
ブルガリア共和国からも関係者が登壇した。ボグダン・ボグダノフ経済産業大臣は「経済的な協調に加え、共同研究の一層の発展が重要。研究所への共同投資は共通市場の開拓促進を目的とし、主要な優先事項の一つだ。24年に新たな共同研究が開始されることを期待する」と述べた。
マリエタ・アラバジエヴァ特命全権大使は「明治ブルガリアヨーグルトは、伝統と独特の乳酸菌、技術でできた素晴らしい商品。ブルガリアが日本中で認知されるきっかけになり、50年間にわたる経済協力に感謝する。24年はブルガリアで健康長寿のための共同プロジェクトを開始するが、政府も全力で支援する」など語った。