一般社団法人和食文化国民会議は4日、東京・千代田区内幸町の帝国ホテルでユネスコ無形文化遺産登録10周年記念イベントとして「1204和食セッション~次世代に繋ぐ和食の集い~」を講演と体験イベントの2部構成で開催。和食会議会員など約200人が集まった。
講演に先立ち伏木亨和食文化国民会議会長(甲子園大学学長)は、「和食がユネスコに登録されて10年経ち、復活したが、登録前の10年は波乱の連続だった。登録されてからいろいろな人に支持されており、この形が10年後、20年後も続いてほしい」とあいさつした。
続いて主催者あいさつで熊倉功夫名誉会長(MIHO MUSEUM館長)は、「2013年12月4日の夜中にアゼルバイジャンからユネスコ無形文化遺産に登録されたと農水省より報告を受けた時はうれしかったが、同時にこれからが大変だと思った」と20年前を振り返った。
登録により和食界から茂木友三郎氏、村田吉弘氏が文化功労者に選出され、石毛直道氏が食文化の論文を発表し、「和食の社会的、政治的な影響が高まり、社会的地位を引き上げ、食文化を確立した」。その後、文化芸術基本法が改正され、ユネスコ登録による効果で生活文化(茶道、華道、書道)に食文化が加わった。2021年には登録無形文化財という新しい制度ができ、その中で郷土料理が登録無形文化財となり、「和食のユネスコ登録が大きな役割を果たした」。しかし「和食は重要無形文化財にはなっていない。次なる段階は国の重要無形文化財に書き込まれ、食文化というジャンルから人間国宝を輩出したい」など語った。
来賓として宮下一郎農林水産大臣が登壇し、「和食に欠かせない味噌、醤油、納豆などの発酵食品は体調を整え、免疫力を上げる効果があると広く認識されている。日本の食文化に対する価値が高く、インバウンドを呼び込むための原動力でもあり、経済発展にも大きく貢献している」と指摘。「農水省としても和食文化の未来継承に向け、子どもたちに和食の価値を伝える食育活動や国内の食文化の保護・継承・発展に向けた活動も行い、海外へ魅力情報を発信する」とあいさつした。
続いてパリ16区のレストラン「Astrance」のオーナーシェフであるパスカル・バルボー氏が祝辞と和食の魅力についてビデオでメッセージを語った。