23年のプレミックス市場は物価高の影響を受け、9月までの販売実績は前年に到達していない。値上げで単価は上がっているものの、ここまで販売数量は苦戦を強いられている。
市場調査会社のインテージによると23年1~9月の家庭用プレミックスの市場規模は前年比1.3%減の225億5千万円。平均容量単価は8.8%上昇しているにもかかわらず、販売金額は前年割れとなった。同社では「新型コロナウイルス感染症の5類移行による外出増に伴った需要縮小や値上げによる買い控えを減少の理由」と分析している。
インテージの調査報告によると、9月までの家庭用「天ぷら粉」の販売金額は42億4千800万円(前年同期比3.4%減)、平均容量単価は前年比9.9%上昇となった。「から揚げ粉」の販売金額は29億2千700万円(1.3%増)で、単価は10.3%上昇。「お好み焼粉・たこ焼粉・チヂミ粉」の販売金額は80億2千700万円(0.9%減)で、単価は7.1%上昇した。「ホットケーキミックス・パンケーキミックス」は販売金額47億2千100万円(3.1%減)で、単価は2.8%上昇だった。
23年9月までの傾向は、価格を理由に容量の少ない商品を購入するケースが目立ったほか、コスパの良いPB商品の販売も伸びた。また国産原料使用を訴求した一部のパンケーキミックスの購入なども進んだようだ。
値上げ影響は大きかったものの、新機軸の商品に注目が集まっている。昭和産業が昨年9月から販売する「焼き天ぷらの素」は計画の2倍以上で販売が推移。コラボ商品の「味覇から揚げ粉」もカテゴリーの柱となりつつある。ニップンでは簡便さと楽しさを訴求した「めちゃラク」がヒット。「同カスタードクリームミックス」は想定を上回る反響を呼んでいる。
テレビ番組で取り上げられた日清製粉ウェルナの「日清 からあげグランプリ」シリーズは放送後も勢いは止まらない。絵本の世界とホットケーキの相性の良さに着目した森永製菓の「森永ホットケーキミックス600g」と昭和産業の「まんまるおおきなホットケーキのもと」は今年度下期の大きな目玉だ。子を持つ母親らの購入意欲を刺激している。
消費者の生活防衛意識は高いままだが、価格の安さとは関係のない理由で商品が動いているのも事実。独自の視点からニーズを捉えた商品や独創性にあふれた価値創出型商品が支持される余地は十分に残っているようだ。