仏・ベル社のチーズ「Kiri(キリ)」は、今年で日本上陸40周年を迎える。同社の子会社で、日本での輸入販売を行うベルジャポン(本社・東京都港区)のアイテキン・ユルドゥズ代表は、「Kiriは日本においてもブランドの強靭性が高い。40周年を機にこれまでの成長を継続するとともに、日本のチーズカテゴリーの成長にも寄与したい」と意欲をみせる。40周年は、これまで築き上げたブランドの信頼感に加え、手軽なポーションタイプや、健康・栄養ニーズへの対応、ご褒美シーンへの対応など独自の商品力を生かした展開を図る。
40周年を皮切りに「革新的な新商品を日本において展開し、Kiriブランドを成長させるとともに、栄養面でも強いプロダクトを持つ商品力を活用していく」と今後3年間の方向性を示している。
今後は日本の人口動態や栄養ニーズの変化を見据え、カルシウムを豊富に含む「Kiri」を含め、変化に対応する栄養素の高い製品を展開すべく、新たな道筋を模索する。
「Kiri」の市場は全体の22%を占めるフランスに次いで、中東のカタール・アラブ首長国連邦・サウジアラビアで多く展開されている。そして3つ目に大きな市場が日本だ。
ベルジャポンでは、ここ6年間の年平均成長率がプラス5.1%と堅調に推移してきた。日本で発売を開始した83年以降順調に出荷量を伸ばし、22年度は同社設立当初の05年比で1.6倍強となっている。
成長の背景について、マーケティングディレクターのロジャー・シェパードソン氏は2つの要因を挙げる。1つ目は、大人が楽しむチーズとして認識されるようになったことだ。日本でチーズは朝食、午後のおやつ、おつまみとおおよそ3つの時間帯で消費されるが、「Kiri」はいずれの時間帯にも対応できる汎用性の高さが特長。なかでも近年、自分へのご褒美やリラックス時の喫食提案に力を入れており、21年には「自分に優しく」の新たなブランドメッセージのもと、ナチュラルでギルトフリーな素材として、主力のポーションや「キリ&スティック」のフレーバー展開で女性を中心に需要を創出している。
2つ目は、有名企業やシェフとのコラボで、新たな「Kiri」の楽しみ方を提案している点だ。10年中頃からはプレシア「贅沢レアチーズタルト」などの洋菓子商品、ゴディバ社とのコラボドリンクなど、コラボ商品も多数展開してきた。「キリ クリームチーズコンクール」では次世代のシェフを育成する活動も行っており、今年も200人以上のエントリーがあった。
足元のコスト環境について代表は、「向かい風は吹いている。世界中のインフレやコストアップ、輸入業としては円安の影響も受けている」としたうえで「消費者がそのブランドを愛し強い関係性を築けているのであれば価格が上がってもロイヤリティを寄せてくれる。特に食品においてはそのトレンドが顕著だ」とし今後も「Kiri」を通して健康的で豊かな食事を提案していく。