大手冷凍食品メーカーは、業務用製品でもサステナブルな取り組みを加速させている。ニチレイフーズは酪農家を支援する目的で北海道産牛乳を使用したコロッケなどを商品化し、味の素冷凍食品はユーザーの意見をもとに既存品をコンパクトなトレイ不使用に変更している。業務用のマーケットは販売チャネルやユーザーが多岐にわたっており、原材料調達や資材の見直しなどを進め持続可能な社会への貢献を目指す。
ニチレイフーズは、重点テーマに「事業を通じた社会課題の解決でサステナビリティを追求する」ことを掲げる。冷凍食品の製造・販売に関わる食品廃棄ロスの削減、健康に資する新たな付加価値の提供、原材料調達から商品の配送まで責任あるSCM網の構築などを推進している。
業務用冷凍食品では、これまでプラスチック削減の観点から、カップデザートのプラスチック容器を紙容器に変更し、「チキン」「農産」「豆腐商材」「調理野菜」などの段ボールをバンドレスに切り替えた。
23年4月、農林水産省とJミルクが立ち上げた「牛乳でスマイルプロジェクト」に参画した。コロナ禍で社会問題となった生乳・脱脂粉乳などの消費拡大に貢献し、酪農家を支援することが狙い。
その一環で、業務用ルート(外食・総菜)向けに北海道産の牛乳・脱脂濃縮乳を使用した「JA士幌町北海道十勝産じゃがいものポタージュコロッケ(袋入り)」と「JA士幌町北海道十勝産じゃがいものコーンポタージュ包み揚げ」を9月から発売する。前者は北海道・よつ葉乳業の牛乳・脱脂粉乳を使用し、販促袋にプロジェクトの共通ロゴを入れた。後者には中種のソースに同社製の北海道十勝クリームチーズを使った。またニチレイフーズ白石工場からは「宮城県蔵王産牛乳の濃厚クリームコロッケ(袋入り)」を届ける。こちらも販促袋に共通ロゴを使用。
味の素冷凍食品は、このほど新カンパニースローガン「FRESH FROZEN AJINOMOTO~感動で笑顔を~」のもとブランドビジョンを刷新し、その中で「環境への配慮」で突き抜けた唯一無二の存在になることを新たな目標に設定した。
業務用では、これまでも提供者や環境に配慮した取り組みを推進している。23年秋季商品のうち、「中華肉餃子(鍋貼)」はユーザーの声を取り入れ、トレイ不使用に一新した。
最大のメリットは冷凍庫内にコンパクトに収納できること。従来品に比べ、冷凍庫の空きスペースを約20%増やせるという。保管容量が限られた現場で重宝されることが見込まれる。また、廃棄プラスチック約71%削減、プラスチックごみの体積約93%削減も実現。「環境への配慮と現場の課題解決を両立させた」(同社)。