日本即席食品工業協会調べによると、2022年度(4~3月)の即席麺総需要は59億9千141万食、前年比1.8%増で2年ぶりに過去最高を更新した。従来の記録はコロナ禍で巣ごもり特需が発生した20年度の59億7千523万食。諸コストの上昇で22年6月に価格改定を実施し、夏場は猛暑が逆風となったが、秋冬以降は食品全般が物価高の環境下、即席麺の手軽さやコストパフォーマンスの高さが支持されプラス基調で推移した。
この数字はJAS品・非JAS品および生タイプの合計。月別の実績をみると、12か月のうち8か月で前年を上回った。値上げした6月(3.8%減)と猛暑に見舞われた7月(7.8%減)は低調だったものの、需要が高まる冬場にかけて10月1.0%増、11月3.6%増、12月2.2%増と高水準で推移した。「秋以降は物価高で生活者の節約スイッチが入った」(関係者)との指摘が多い中、1食当たりの割安感が好感されたとみられる。
カテゴリー別は、カップ麺(構成比66%)が39億9千120万食、2.3%増と3年ぶりプラス。袋麺(同34%)が20億22万食、0.7%増と2年ぶりプラス。
なお、総需要のうちJAS数量(構成比74%)は1.6%減と前年割れ。各社のロングセラー品が多く該当するが、値上げによる売価アップの影響が出た格好だ。カップ麺はほぼ横ばい(0.3%減)ながら袋麺が4.8%減と縮小した。一方の非JAS数量は15.7%増と伸長。定番のJAS品から少なからず需要がシフトしており、要因にはPBなどの廉価品、韓国やアジアからの輸入品、健康軸の新価値商品などの増加が挙げられる。