サーティワンが過去最高売上 急拡大する新デザイン店舗 「感動レベル」の体験価値を

B-Rサーティワンアイスクリームはこのほど、23年度の事業戦略発表会を実施した。22年12月期は過去最高となる売上高220億3千800万円、営業利益17億900万円を達成。1店舗当たりの年間平均売上は4千340万円と7か月連続前年比を上回り、49年間で過去最高となった。本年度は税引き前利益31億円を掲げる長期経営計画=LRP(ロング・レンジ・プラン)のもと、製品・サービス・プロモーションの最大化と、スイーツ専門店市場からのシェア獲得でさらなる成長を目指す。

代表取締役会長兼社長CEOのジョン・キム氏は昨年度を「記録的な1年だった」と振り返り、「消費者の店舗体験価値向上を最優先に、コストプレッシャーを数量増による売上増で相殺し、卸価格と小売価格を抑制したことが成功のカギになった」と説明。50周年を機に、これからの50年に向けた飛躍の年にしたいと意欲を示した。

売上好調の要因について取締役副社長COOの安齊正明氏は「コロナ禍でライフスタイルが大きく変化したことをチャンスと捉え、デジタル化や販売拠点拡大などビジネス構造そのものの変革を進めた結果だ」とし、選ぶ楽しさといった消費デマンドを重視したマーケティング戦略への転換も寄与したと分析。パッケージングや価格設定を見直した「バラエティボックス」の発売、持ち帰りに特化することで待ち時間を大幅に短縮した「サーティワン to go」の展開など様々な挑戦をした結果と捉えた。

22年度は243店舗の改装を実施し、新デザインの累計店舗数が国内外含め最多の272店舗を記録。改装店舗は既存店舗に比べて9・2%の売上増となっているため、今年度はさらに200店舗の全面改装と65店舗の新規出店を目標にする。「昨年は休日を除き毎日新デザインの店舗がオープンしていたイメージ。このスピード感と規模感で改装を実施している国はほかにない。今年は店舗価値をさらにバージョンアップして、お客様を感動レベルの体験価値に導きたい」(安齊氏)としている。

スイーツ専門店市場からのシェア獲得について執行役員マーケティング本部長の若林翌氏は、「当社の売上の6倍以上あるスイーツ専門店市場からの獲得を考えている」とし、誕生日や記念日以外の需要に向けた商品開発に注力する方針。人気の「デコケーキ」やキャラクターのトッピングができる「ハッピーフレンズ」の新商品を予定。

新たな施策では小学生以下の子どもを対象とした「サーティワンパスポート」を4月から発行、アイスのパックとシュガーコーン、オリジナルロゴ入りのミニスクープがセットになった「Happiness Box」の発売を5月に予定。お気に入りの商品を自宅で楽しめる「ハンドパック」は5月から容器形状を変更し名前を「フレッシュパック」とし、伸長する「バラエティボックス」のTVCMも継続。「今年は50周年を迎える。往年のファンや、足が遠のいている人にもアプローチしていく」(同)と期待を込めた。