森永製菓の“飲むカカオ”の位置づけで甘さ控えめのハイビターココア「カカオの力〈CACAO70〉」が好調に推移している。
これには、昨年8月に機能性表示食品化してリニューアル発売したことが奏功した。
取材に応じた溝井敦営業本部菓子食品営業部食品営業グループ課長は「市場が上向いた10‐12月に『カカオの力』は金額ベースで前年比120%強となり、11月単月では、機能訴求を前面に押し出したTVCMを集中投下したことで150%を超えた。機能性表示食品化によって謳えるようになったダブルヘルスクレームにご支持をいただいたことで伸ばすことができた」と振り返る。
機能性表示食品化で取得したのは、血流改善(末梢の血流を改善し手先表面を温かく保つ)と「腸活(カカオリグニンが便通の気になる方のおなかの調子を整える)のダブルヘルスクレーム。
ココア新規ユーザーの獲得についても「一定の効果が見受けられた」とし、今後もこの流れを途切れさせないことを課題に掲げる。
今春は「カカオの力」の強化を重点施策の1つに位置づける。
「ココアはどうしても冬場の飲み物のイメージが強く、年間の季節指数でみても冬場の市場が大きいが、夏場でもきちんと飲んでいただけるように、いろいろな飲み方・食べ方を提案しながら間口(ユーザー)を広げていく」考えだ。
今期(3月期)は、カゴメの植物性飲料ブランド 「畑うまれのやさしいミルク」と森永乳業の「ビヒダス プレーンヨーグルト」とコラボレーションし、両ブランドの売場で試供品のサンプリングを実施した。
来期の店頭施策は検討中で「SNSをもう少し上手く活用していきたい」という。
機能訴求としては、冷房病(クーラー病)などに着目して、血流改善のヘルスクレームを伝え夏場の需要を喚起していく。
栄養補給ニーズに対しては「牛乳で飲むココア」と「セノビー」を提案強化していく。
「牛乳で飲むココア」は3月をめどに動画を公開し、カルシウム・鉄・ビタミンDが摂れる栄養機能食品の機能面をわかりやすく伝えていく。
パッケージは、昨春に機能面を強調したデザインに刷新したところ好スタートを切れたことからデザインを踏襲する。
同商品とサブフレーバーの「牛乳で飲むココア チョコボールいちご」で牛乳の消費も応援していく。森永製菓は、ココア・ケーキミックスで農林水産省が一般社団法人Jミルクとともに立ち上げた「牛乳でスマイルプロジェクト」に参加している。
「牛乳で飲むココア チョコボールいちご」は、昨春の好評を受け、今春で2年目の店頭展開となる。
今年の新しい動きとしては新商品「リッチココア<マリーと味わう贅沢時間」が挙げられる。
同商品は1923年から発売しているビスケット「マリー」が100周年を迎えることを記念した辻口博啓シェフ監修商品で「マリー<発酵バター香るメープルキャラメル>」とともに1月31日から発売している。
「マリー<発酵バター香るメープルキャラメル>」は、発酵バターの香りがトップノートにありながらメープルキャラメルのやさしい甘さが感じられる特別な「マリー」。
これと連動し「『マリー』とに味わう贅沢時間といったテーマで、『マリー』を食べながら優しく香るベルガモット風味の『リッチココア』を飲んでいただくと、よりおいしく感じられることを伝えていく」。
森永製菓の菓子ブランドとのコラボでは、昨年8月に新発売した「白いダーススティック」が好調となった。同商品は、一口サイズのチョコレート「白いダース」の味わいをイメージしたスティックタイプのドリンクで、2022年8-12月の売上げは、前年同期に発売した「ミルクキャラメルココアスティック」と比べて2倍程度拡大した。
ココア市場は、特に朝の飲用シーンにおいて、麦芽飲料や植物性飲料などとの競争が強まり苦戦を強いられている。
そうした中、需要期の10‐12月はプラスとなり盛り上がりをみせ、トップシェアの「森永ミルクココア」は「市場の伸びよりも好調となった」。
これには11月7日の「ココアの日」を山場にキャンペーンを展開したほかSNSでの発信を強めたことが奏功したとみられる。
森永製菓は23年3月1日出荷分から、菓子69品、食品15品、冷菓9品の価格改定、3月7日発売分から菓子3品、食品2品の内容量変更を実施する。
このうちココア商品は、ミルクココアスティック各種の価格を3~21.2%の上昇幅で改定。「森永ミルクココア」は300gから240gに、「牛乳で飲むココア」は200gから180gに減量する。
これにより予想される消費減退に対しては、「牛乳で飲むココア」の動画公開など回転を高めるための施策を実施し需要を喚起していく。