「サクレ」やマルチの拡販などで、このところ好調なフタバ食品の企画部部長小野泰司氏に、前期アイス部門の振り返りと、SNSを活用した施策、新たな魅力を発信し続けるロングセラー商品の今後の展開について聞いた。
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――前期(22年8月期)のアイスクリーム・氷菓類は3.5%増と好調でした。
小野 天候もよかったが、一番の主力商品であるサクレの取り扱い店舗が順調に伸びたことが好調の要因として大きい。今まで5~9月中心の扱いだったが、少しずつ秋冬も置いてもらえるようになり通年販売の環境が徐々にできている。非常に好評だった「サクレ パイン」は中にごろっとした果肉がそのまま入っていることや味付けの良さが評価につながったと思う。
今年初めて稲毛海岸で開催した“サクレフェス”はコロナの再拡大があり想定した参加人数には達しなかったが、多くのメディアに取り上げていただいた。一番の目的はお客様に対する日頃の感謝の気持ちを伝えること。いかにサクレをネタに楽しんでもらえるか、“サクレと共に遊べる状況”ができるかという点を重視した。「サクレ」を使ったパフェやドリンクなど違った楽しみ方や食べ方、おいしさを知ってもらえたと思う。
――「ダンディー」も認知が拡大しています。
小野 発売から18年ほど経ち、おかげさまで採用が増えている。18年の中で、より商品の特徴がはっきりしてきた。昔からボリューム感はあったが、そこに“バキザク”食感をプラスしパッケージでも打ち出したことで、商品の差別化がしっかりと図れた。年に1回程度リニューアルやパッケージ変更を行ってきたが、そのタイミングでコンビニに採用してもらえたことが大きい。食べ始めはアイスとチョコ、後半はチョコ菓子のようにチョコだけになるといった、菓子とアイスが一緒になった商品だが、今後はアイスとしての品質をもう1段階高めたいと思っている。新規のフレーバーについても、必要かを含めて消費者の声を確認しているところ。
――留め型やPB商品は増えましたか。
小野 それぞれのコンビニでしか買えない商品が、毎年一つくらいはある環境になった。ようやく「サクレ」「ダンディー」のブランドや商品力を認知してくださったのだと思う。本当に感謝している。商品を広げていくには、絶えず進化し続けなければならない。主要アイスは毎年夏にモニター調査を実施しているが、お客様が食べてどう思うか、どこが良くて、どこがいまいちだったのかなどを調査し次につなげている。味覚や嗜好は長い間で変化するしトレンドもある。年齢層、性別も異なれば、一人一人が食品に対して期待していることも違う。1千人全部が同じ方向を向いていることはないし、半分が同じ方を向いている商品や、20%しか向いていない商品も当然あって、アイス特有の「遊び心」みたいなものは必要だと思う。
――商品政策やSNSなどのプロモーション施策は。
小野 当社では大きく▽サクレ▽ダンディー▽スティックのマルチ商品(季節シリーズ)▽低価格商品群の80円シリーズ――と4つのブランド兼商品群があるが、これらをいかに提案できるかが課題。「サクレ」はより強く確実に、「ダンディー」は継続して品質を向上し認知・配荷店のさらなる拡大を目指す。マルチの季節シリーズは本物のフルーツの味わいや滑らかな食感に強いこだわりをもち続けてきたことが、徐々に理解してもらえるようになった。
10月から始めたTikTokは、若い人にも商品やブランドを知ってもらうチャンスとして、直に商品の良さを伝えていきたい。SNSの発信とともに、今期も稲毛海岸のイベントや、購入者にギフト券が当たるキャンペーンなどを予定している。
――今期の意気込みを聞かせてください。
小野 76期は非常によかったので、今期もその流れを継続したい。コスト増など不確定要素もあるが、しっかりと売上と利益を出すのが第一目標。そこに向けてやはり主力の4ブランド・商品のリニューアルを継続しつつ、目標を達成していくことが重要。これまで以上に主力に期待するとともに、新規商品についても引き続き注力していく。