一度は試したくなる異色のスイーツ 中部メーカーから続々登場

中部地区を地盤とする老舗食品メーカーでは、長年提供している商品を新感覚スイーツとして進化させた商品の開発が相次いでいる。これまで、愛知県岡崎市の八丁味噌メーカーでは「八丁味噌まんじゅう」、漬物の丸越(名古屋市)では人気の焦がし醤油を使ったバームクーヘン「焦がし醤油ばうむ」などを発売し、人気となっている。スイーツ市場は手土産などが減少した一方、スーパーなど流通では好調に推移し、市場規模は2兆円を超えるとみられる。スイーツ系商品を新しくラインアップすることで販路拡大や新規顧客の取り込みを図りながら、既存商品の魅力や長年培った技術を再発信している。

あずきバー、ゆであずきなど小豆製品を幅広く取り扱う「井村屋」は18日、お酒とあんこを組み合わせた「ラム酒香るあんこ」「日本酒香るあんこ」を発売する。

「ラム酒香るあんこ」「日本酒香るあんこ」(井村屋) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ラム酒香るあんこ」「日本酒香るあんこ」(井村屋)

同社によると、近年はお酒を使用したスイーツが広まっており、お酒入りのチョコレートは50~70代の女性を中心に人気を集める。あんこを使用した和菓子も年代が高くなるにつれて好まれる傾向にあり、お酒を使用したあんこも同様に好まれるのではないかと考え開発した。「ラム酒香るあんこ」は、濃厚で香り豊かなマイヤーズラムとラムレーズンミンチを使用した。「日本酒香るあんこ」は、自社で醸造している「福和蔵 純米吟醸」のお酒と酒かすを使用している。

「金印」は、安曇野産の本わさびを使用した「わさびアイスクリーム」を発売した。本わさびの色調、風味付けとして「安曇野産本わさび」を使用し、水や香料、着色料を一切使わない濃厚なアイスクリーム。本わさびのさわやかな風味にこだわり、上品かつ甘みを引き立てるわさびの風味や辛味が飽きのこない味わいになっている。

「チョコレートソース」(美ノ久) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「チョコレートソース」(美ノ久)

マスタードメーカーの「美ノ久」は、初挑戦となる「チョコレートソース」を発売。マスタード製造には温度や湿度の精密な管理が欠かせない。これまでのノウハウを生かし、繊細な調整を施し絶品のチョコレートシロップを開発した。一般的なチョコレートソースはココアが主原料とされることが多いが、より濃厚なチョコレート味を楽しんでもらおうと素材を厳選。カカオ分35%以上、カカオバター以外の代用油脂を使用しないなど国際規格を満たした「クーベルチュールチョコレート」を使った本格的なソースになっている。

コロナ禍や原材料の高騰などで苦戦する食品メーカーが多い中、新商品の開発を進めることで売上を上乗せする一方、既存商品の再認識、技術力のアピールにつなげ難局を乗り切っている。