国分グループは6月17~18日、東京・池袋で「低温フレッシュデリカ事業展示会」を開催した。国分フードクリエイトと国分フレッシュリンクが統合し、5月に発足した国分フレッシュ・フードトランス(KFT)やナックスを中心に、調達から製造・物流・販売までグループの充実した低温機能を披露した。
KFT発足後、初となる低温フレッシュデリカ事業展示会にはメーカー109社(和洋日配、冷食、デリカ、生鮮など)が出展。国分グループの企画ブースでは、エントランス入口で今期からスタートした「低温事業マスタープラン2030」の全体像を説明した後、「フレッシュデリカ(さつまいも/水産加工/畜産)」「ディーツ(Deats)」「倉島乳業」「地域共創」「物流」「未来予測」の各コーナーで、サプライチェーンに潜む「求」を解決するKFT取り組み事例を紹介した。

川上領域では、気候変動や人手不足による安定供給確保や、新たな販路開拓など、生産者が抱える課題を抽出。こうしたサプライチェーンに潜む「求」を、国分グループの機能や共創圏パートナーと連携して、課題解決に取り組む方針を示した。
例えば、さつまいも生産者との取り組みでは、加工時に発生する端材や規格外品を活用したサステナブルデリカや、スイーツなど新たな販路を開拓。水産では、東京湾で水揚げされる「コノシロ」や「マイワシ」をフィレや加工品として提案し、生産者と協働で新たな価値創造を目指す。
おからとこんにゃくを主原料とする食品素材「ディーツ」では、新工場稼働により供給量・価格の安定化を実現。「明太子タイプ」など、価格高騰が続く明太子やツナエビの代替素材として、デリカや外食ルートでの展開を広げる。
「乳製品」ではグループの倉島乳業との協働で、良質な北海道産牛乳の取り組みを紹介。産地パックした新鮮な北海道産牛乳の安定販売に加え、ソフトクリームやアイスクリーム、クリームパンなど加工品原料としての展開を広げることで、酪農産業の持続可能な成長にも貢献する。
「横浜中華街」との取り組みでは、コロナ禍をきっかけに中華街ブランドの冷凍食品やスイーツを開発。新商品では、名店監修の「えびワンタン」「上海焼きそば」「台湾愛玉子」、デリカ売場向けのキット商材などを紹介した。
また、未来を見据えたメーカー各社の取り組み事例として、ハーゲンダッツ ジャパン(北海道浜中町/ミルク)、フジッコ(北海道/国産昆布)、スギヨ(能登)、アマタケ(岩手県田野畑村/合鴨)の4社がブース出展。各社の一次産業との取り組みを通じて、「商品供給が本当に止まる時代がすぐそこに迫っている。生活者のみならず、生産者を守る社会的責任が卸や小売にあることを理解してもらいたい」と呼び掛けた。
国分グループのオリジナル商品コーナーでは、新発売の「KING’Sハワイアンスウィートロールパン」をはじめ、好調の「クリエイト ギリシャヨーグルト」や「生つま×酒ハイ」のコラボメニューを提案。「八天堂」×「倉島乳業」のとろけるくりーむパンや「魚沼おはぎ」などのフロチル商品、温暖化による季節感の変化(四季溶け)に対応した売場づくりや、猛暑対策としての冷やし麺・氷菓、コメ離れを防ぐ副菜や加工品、進化する冷凍食品の提案も注目を集めた。
進化するサステナブルデリカ 生産者と売場をつなぎ活性化

市場拡大が続く「デリカ」では、7年目を迎えて提案内容の進化と顧客への定着が進む「サステナブルデリカ」の取り組みを紹介。KFTブースでは、「日本をつなぐ。ともに創る。つながるデリカ」と題し、国産原料や調味料を活用した全国各エリアのデリカメニューを披露。単なる商品提案だけでなく、原料や味付けのこだわりなど、商品の背景までしっかりと伝え、「原料(生産者)から売場をつなぎ、地域産業活性化に貢献する」国分デリカの取り組みをアピールした。
そのほか、ナックスは外食品質を再現した中食惣菜メニューやデリカ×ベーカリーを提案。デリシャスクックは得意のサラダボウルやトルティーヤなど高品質の野菜メニューを中心に、国分グループ唯一の惣菜製造業として、顧客ニーズに合った幅広いラインアップと差別化につながる高付加価値商品を提案した。
また、会場内ではディスプレイ付ロボットによるメーカー提供動画の放映、店頭マネキンと連携した試食提供など、新たな買い物体験を創出するロボット接客のデモンストレーションを実施。来場者特別パッケージ(一定期間の無償導入)も用意し、小売業関係者の注目を集めていた。