ニチレイフーズ山形工場 個食対応の冷食新ライン 低炭素化、脱フロン化推進

ニチレイフーズは9日、今年2月にパーソナルユース需要対応の冷凍食品ラインを新設した山形工場の内覧会を開催した。山形工場は約40億円を投じて、コロナ禍で加速したパーソナルユース需要に対応した新ラインを導入。同時に環境対応の取り組みを強化し、工場内で使用する電力のCO2排出量ゼロ、自然冷媒による脱フロン化を実現した。

内覧会には、ニチレイフーズの竹永雅彦社長、中野泰寿取締役専務執行役員生産統括部長をはじめ、来賓として環境省地球環境局地球温暖化対策課フロン対策室・豊住朝子室長、天童市経済部産業立地室・花輪達也室長らが出席した。

竹永社長は「山形工場はパーソナル需要に対応した冷凍食品ラインを新設し、常温・冷凍の2温度帯を生産する工場に生まれ変わった。今春に発売した「冷やし中華」はその第一弾の商品であり、今後は家庭用・業務用での商品開発を加速させる」と語った。

さらに、今年度からスタートしたニチレイグループの中期経営計画「Compass Rose2024」において「当社グループは社会課題の解決と経済的価値を両立させたサステナビリティ経営に舵を切り、生まれ変わった山形工場は環境対応に配慮し、持続的な成長の一躍を担う工場でもある。今後も上質なモノづくりを推進するとともに、地元・天童市の地域活性化にも貢献していく」と意気込みを示した。

環境省・豊住室長は「冷凍食品の需要は今後も拡大が見込まれており、山形工場では時代のニーズをとらえた新商品の生産体制を強化された。環境対応の取り組みでは、二酸化炭素排出抑制対策事業補助金を活用し、省エネ型自然冷媒機を導入、フロン対策やクリーンエネルギーの活用に取り組んでいただいた。私どもの暮らしを支えるコールドチェーンのスタートである食品製造工場・冷凍倉庫において、脱フロン・脱炭素化に取り組まれていることは大変心強く、業界全体に波及していくことを期待している」と語った。

続いて、天童市の花輪経済部産業立地室長が、議会開催中のため欠席した山本信治天童市長の祝辞を代読。「山形工場では環境に配慮した設備を導入し、県内の水力発電を活用した再生可能エネルギーによるCO2排出量ゼロを実現された。地域産業の振興はもとより、地域活動にも貢献いただいており、ますますの発展を期待している」と語った。

内覧会では中野専務が山形工場の概要を説明。設立65年目を迎えた山形工場は、桃缶詰の生産工場として出発し、現在ではレトルトカレー、ふかひれスープなどニチレイフーズの常温食品主力工場として操業を続けてきた。新たに個食冷凍食品の生産設備を導入し、パーソナルユース需要への対応を進めるが、中野専務は「(山形工場は)常にチャレンジして新たな技術を取り入れ、探求・進化してきたDNAが強み。冷凍ラインは麺のほか、複数の具材やおかずを生産・セットアップできる機能を有しており、今後も新たな価値を提供していく」と語った。

環境対応では、東北電力の「よりそう再エネ電気」の活用により、山形工場全体で使用する電力にかかる、CO2排出量ゼロを実現。都市ガスやプロパンガスへの燃料転換、自然冷媒による脱フロン化を推進。

また、山形工場で生産する「冷やし中華」は先駆けて単箱仕様によるバンドレス化を実現。同社では年間プラスチックバンド使用量(約150t)を段階的に削減し、将来的にゼロを目指している。