中部食品メーカーで広がる機能性表示食品 付加価値求め新規参入相次ぐ

中部エリアを地盤とする食品メーカーでは、コロナ禍などによる健康志向の高まりに合わせ、付加価値の高い商品を作るため機能性表示食品の開発が活発に進められている。これまで健康食品を取り扱うメーカーをはじめ、イチビキ(名古屋市)が即席みそ汁の「即席健康一杯」、サラダコスモ(岐阜県)が「子大豆もやし芽ぐみ」「ブロッコリースルフォラファンスプラウト」、ヤマモリ(三重県)が「ギャバ醤油」「GABAでリラックスりんご酢」などを発売。さらに近年は新規参入も相次いでいる。

加工わさびなどを扱う金印では長年にわたり本わさびの健康機能性について研究。これまで抗酸化作用や発がん抑制作用、認知機能改善作用、育毛作用などの機能性についての大学と共同研究の結果を発表してきた。20年には、機能性関与成分ローズヒップ由来ティロリサイドを香辛料に付与した「肉用きざみわさび」(機能性表示=体についた脂肪を減らす)を発売。21年には本わさび由来の機能性関与成分6-MSITCを配合した「香るおろし本わさび 信州安曇野産」(機能性表示=判断力・注意力を向上させる)を、22年には希少なブルーローズから作った素材「オーラムブルー」をはじめ、機能性関与成分・植物性乳酸菌K-1など7つの美肌成分を配合した栄養ドリンク「Retime」(機能性表示=お肌のうるおいを維持・お通じを改善する)を発売している。

「豆乳グルト」(マルサンアイ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「豆乳グルト」(マルサンアイ)

みそと豆乳を展開するマルサンアイでは「豆乳グルト」を今年3月、機能性表示食品としてリニューアルした。機能性関与成分・乳酸菌TUA4408L(機能性表示=お通じを改善する)。豆乳グルトは、植物性ヨーグルトの先駆けとして10年に発売。豆乳のほか、乳酸菌も植物性由来にこだわり、乳アレルギーの人でも安心して食べられるとして人気商品になっている。

乾麺や小麦粉製品などを販売する金トビ志賀では、21年に業界初となる乾麺での機能性表示食品「細切りざるうどん」を発売した。機能性関与成分・イソマルデキストリン(機能性表示=食後の血糖値と血中中性脂肪の上昇が気になる方へ)。

「細切りざるうどん」(金トビ志賀) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「細切りざるうどん」(金トビ志賀)

コロナの動向が不透明な中、今後も健康への意識の高まりは続いていくとみられており、今後の注目が期待される。最終製品で試験を実施し科学的に根拠を示す必要がある特定保健用食品(トクホ)に比べ、文献や論文を引用して根拠を示すことができる機能性表示食品はハードルが低い。1991年に始まったトクホは1千件程度の商品数だが、機能性表示食品は15年の開始から今年3月までに5千件を超える登録があり、今後も増加していくとみられる。