飲料で熱中症対策を啓発 「ポカリスエット」「アクエリアス」が活動強化

マスク着用での熱中症対策を余儀なくされている今夏、スポーツドリンク棚を席巻する「ポカリスエット」(大塚製薬)や「アクエリアス」(コカ・コーラシステム)などの飲料ブランドは熱中症対策の啓発を強めている。

「ポカリスエット」で目下、熱中症対策として注力しているアイテムは「ポカリスエット アイススラリー」。同商品は、活動前に摂取することで、身体を芯から冷やし、水分と電解質(イオン)も補給することができるアイススラリー状(液体の中に微細な氷の粒がたくさん混じった粘度の高い)の飲料で、凍らせたまま摂取することができるのが特徴だ。

大塚製薬ニュートラシューティカルズ事業製品部の原康太郎ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャーは、同商品の魅力について「小さいパウチ容器で持ち運びできることに加えて、スラリーという特殊形状のため食道に貼りついて落ちるときに冷たさをすごく感じる点も支持されているようだ。熱中症対策、スポーツを楽しむ方、入浴後に飲むなど、さまざまなシーンで使用する目的で、お客さまに購入していただいている」と説明する。

「ポカリスエット アイススラリー」(大塚製薬) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ポカリスエット アイススラリー」(大塚製薬)

「ポカリスエット アイススラリー」に加え、冷えた「ポカリスエット」でも熱中症対策の啓発に注力している。「今年のテーマはずばり“熱”。今年は外出自粛やマスクを着用して過ごす初めての夏なので、これまでに経験したことのない状況を経験するかもしれない。例年より一層、意識的に水分・イオン補給と熱へのアプローチを行っていく」と語る。

一方「アクエリアス」では“毎日の熱中症対策に。”を掲げてTVCM「見えない がんばれ 夏」篇を放映し、専用サイトで熱中症対策のポイントを公開している。

「アクエリアス」㊧と「アクエリアス ゼロ」(コカ・コーラシステム) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「アクエリアス」㊧と「アクエリアス ゼロ」(コカ・コーラシステム)

同CMは、好評だった19年秋冬キャンペーン「見えない“がんばれ”が詰まってる。」のCMをアレンジしたものとなっている。

日本コカ・コーラの高木直樹マーケティング本部ウォーター+スポーツカテゴリーグループマネジャーは「見えない“がんばれ”キャンペーンは物すごく反響が大きかったため、今回は、見えない“がんばれ”を熱中症対策にかぶせた形で展開していく。スポーツ軸をそのままに、夏の高校野球が中止になるなどスポーツができずにショックを受けている人たちを含めて陰ながら応援したい。熱中症対策という物性的価値とともに、少しでもスポーツができる日を待ち望んでいる人のサポートという情緒的価値を打ち出していきたい」と述べる。

サントリー食品インターナショナルは、熱中症対策飲料として「GREEN DA・KA・RA」に注力している。「GREEN DA・KA・RA」本体は、今年は発汗で失われる鉄分に注目して、夏場限定で新たに鉄分を追加。「夏場の体調管理により適した商品ラインアップとして訴求している」(川村崇ジャパン事業本部戦略企画本部ブランド企画部長)という。

「GREEN DA・KA・RA」(サントリー食品) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「GREEN DA・KA・RA」(サントリー食品)

7月中旬には新TVCM「あたらしいおともだち」編を放映開始。同CMは、しずくちゃんとなぎさちゃんに加えて新たに出川哲朗さんを起用して“鉄分のてっちゃん”との表現で鉄分入りをアピールする内容となっている。

キリンビバレッジの「世界のKitchenからソルティライチ」は“おいしい熱中症対策”として独自のポジションを築き、特においしさの味覚評価が高く、夏以外の需要を獲得し拡大傾向にある。

巣ごもり消費の拡大や在宅時間の増加を受けて、夏場は熱中症対策の活動に加えて、スーパーや量販店でメニュー提案を実施している。

「男女ともに料理をする機会が増えレシピへの関心が強まっていると考え、『ソルティライチ』と『ソルティライチベース』の両方でアレンジレシピの提案を強化している」(橘美佳マーケティング本部マーケティング部商品担当)という。

「世界のKitchenからソルティライチ」(キリンビバレッジ) - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「世界のKitchenからソルティライチ」(キリンビバレッジ)

熱中症対策の活動は、「暑さが年々長期化している傾向にある」との考えの下、4月末から早期の熱中症対策の声掛けに注力。夏場には、熱中症対策アドバイザーの資格を取得した社員によるセミナーを拡大した。