コンビニ「曲がり角」鮮明に 拡大一転、足元を強化へ

ビジネスモデル再考機運

コンビニ業界の「曲がり角」が鮮明になりつつある。先月に行われた上場各社の決算会見では24時間営業、大量出店による拡大・成長戦略といった、これまで業界が当たり前としてきたビジネスモデルについて、いったん立ち止まって見直そうする姿勢が目立った。

セブン―イレブンは18年度も業績面では盤石さを示した一方、今期の出店数を前期比約4割減の850店とする計画。事業構造改革の一環として、立地に応じた出店基準の厳格化による出店精度向上を掲げる。

セブン&アイHDの井阪隆一社長は「00年代初頭からコンビニ飽和論が言われていたが、私がセブン―イレブン社長に就任した09年から『近くて便利』という政策でニーズ掘り起こしに成功。ただ調子に乗って拡大路線を続けた結果、販管費がアップし、営業利益率は低下してしまった」と反省の弁。事業構造改革によりビジネスモデルを再構築するべく、今期は「“意志のある踊り場”を作りたい」としている。

ファミリーマートはサークルKサンクスとのブランド統合前の数年間は年間1千店舗以上を出店していたが、16年以降は急ブレーキ。統合後の累計閉店数は3千300店に及ぶ。前期もブランド転換の過程で引き続き閉店とB&Sが先行し800店の純減。転換が完了した今期も加盟店支援と店舗収益力の強化に軸足を置き、店舗数は100店の純増にとどまる見通し。

ローソンは今期、出店・閉店とも700店を見込み、増減ゼロの計画。新規出店は一層絞り込み、低収益店の置き換えや複数店オーナー推奨などで収益力の強化を図る。

「加盟店支援を徹底して持続可能なモデルを作り上げ、大きく前に出ていく年としたい。営業利益は横ばい、純利益は減益の計画。19年度で加盟店支援に決着をつける」(ローソン・竹増貞信社長)。

大きな関心を呼んだ加盟店の24時間営業問題では、セブン―イレブンが「柔軟な対応」への方針転換を表明。社長も交代し加盟店との対話重視の姿勢を強調した。

同社では3月から実施する時短営業実験の結果も踏まえて対応するとしているが、営業時間選択制の導入は否定しており、「24時間」の原則は固守する構えだ。ファミリーマート、ローソンも時短営業への対応に向け、検証実験やオーナーとの対話に取り組んでいる。

「(昨年までに実施した時短実験は)直営店で、加盟店の意思は確認しないまま行った。単純に深夜に閉めたものだが、やはり売上げ、利益とも減っている。今回の実験で検証結果を加盟店に伝えた上で判断してもらう」(ファミリーマート・澤田貴司社長)としている。

ファミマでは店長の休暇取得支援のためのヘルプ制度や店舗スタッフの派遣態勢強化、24時間営業奨励金の増額も行うなどして加盟店をサポートする姿勢を強めている。

年明けからクローズアップされた恵方巻の大量廃棄問題をきっかけに、食品の廃棄ロスに関しても業界は大きな批判にさらされた。これを受けて従来の1/3ルールに代わる「1/2ルール」の導入、デイリー商品の長鮮度化、見切り販売の実施といった食品廃棄ロス削減に向けた施策が各社から打ち出された。

ただ、こうしたビジネスモデルの見直しも、廃棄ロス金額の大部分を加盟店が負担する、いわゆる「コンビニ会計」にまでメスを入れる動きには、まだつながっていない。コンビニにおける食品廃棄問題の根幹にもかかわるだけに、くすぶり続けるこの議論に業界としてどう向き合うのかも問われる。