家庭用食用油市場は25年度、金額・物量ともに3%程度、前年を下回った。節約志向や家庭内での調理機会減少の影響を受けたが、必需品としての底堅さを発揮。市場規模は1700億円の大台を維持した。
今期は春先にかけて、中東情勢の悪化に伴う資材供給への不安感から汎用油の需要が急増。価格改定のタイミングとも重なり、製油各社は対応に追われた。6月以降は落ち着きを取り戻しつつあるが、値上げ後の需要の維持・活性化が課題となっている。
今期は異例のスタートとなった。製油各社は4月からの値上げに続き、6月から再度の価格改定を実施。油脂コスト上昇による値上げの実勢化を急ぐ一方、年度末にかけてナフサの供給懸念から汎用油の需要が急増。GW前には一時的に品薄感が強まり、対応に追われた。
家庭用でも特需が発生した。キャノーラ油など汎用油の出荷量は4月10%増、5月6%増だった。6月は前年を下回る水準まで落ち着いてきたが、汎用油は4―6月計で金額・物量とも久々のプラスとなった。回復途上にあるオリーブオイルの落ち込みをカバーし、家庭用食用油全体を底支えした。
日清オイリオ、J-オイルミルズの第1四半期決算は、いずれも増収増益で着地。価格改定の浸透に努めてきたことに加え、汎用油の販売数量増加が寄与した。4-6月は想定外の追い風に恵まれた格好だが、物価高で節約志向が強まっており、「消費環境は一層厳しさを増している」と危機感を示す。
最大ボリュームの汎用油は価格改定の浸透が最優先で、店頭価格は上昇傾向にある。春先の特需が収まり、下期に向けて新価格の定着と販売数量の落ち込みをいかにカバーするかが焦点となっている。
その最右翼となるのが、成長が続く「こめ油」と、原料高騰が落ち着いたオリーブオイルの需要回復だ。こめ油もコスト環境は厳しさを増しているが、今期に入ってからも販売の勢いは衰えておらず、付加価値型のクッキングオイルとしてさらなる成長が期待されている。
一方のオリーブオイルは4―6月、金額・物量とも前年割れ。物価高の影響で需要回復がやや遅れているものの、家庭用食用油最大カテゴリーの底上げに向けて大手各社の取り組みが活発化している。
日清オイリオは発売30周年を迎えた「BOSCO」のプロモーション展開を強化。店頭やSNSでの情報発信など消費者接点を強化し、「BOSCO」のブランド価値を伝えるとともに、オリーブオイルの市場活性化につなげる。
J-オイルミルズも今年発売30周年を迎えた「AJINOMOTOブランド」のオリーブオイルの展開を強化する。使い勝手の良さが支持されている紙容器シリーズは「紙らくパック」に名称を変更する。
同シリーズの300g容量のオリーブオイルは若年層からの支持が高く、エントリーユーザーの獲得に向けた取り組みを強化する。
