酷暑が続く。辛い料理で暑さを乗り切る向きもあるが、辛さに比例してアルコールの摂取も増える。翌日のダメージを心配する歳になってしまった。
▼先日、馴染みの店に金糸瓜を持ち込んだ。素麺かぼちゃである。静岡出身の若い大将は初めて見る食材に首をひねっていたが、数日後、宮崎の冷や汁風に仕立ててくれた。豆乳を加えた出し汁が具の味を引き立て、料理と一緒にゆっくり酒を楽しめた。
▼夏の食には土地の知恵が宿る。愛知の酢味噌そうめん、滋賀の焼き鯖そうめん、鹿児島のへちま汁は個人的にお気に入り。宮崎の冷や汁は近年全国に知られるようになった。永谷園が四半世紀推してきた冷やし茶漬けも暑さを追い風に広がっている。
▼先日、愛知で、かりもりの粕漬けをいただいた。かりもりは固い果肉を持つ愛知の伝統野菜。醸造業の盛んな知多半島では、副産物の酒粕を使い、保存の利く夏の漬物と重宝されたという。冷やす、酸味を利かせる、発酵させる。猛暑に抗う食の知恵は昔から各地にあった。気温ばかりでなく、食の知恵も次代へ受け継ぎたい。
