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三輪素麺、都市型店舗で発信 マル勝髙田商店「てのべたかだや 北浜茶寮」オープン

 三輪素麺メーカーのマル勝髙田商店(奈良県桜井市)は5月、大阪市中央区北浜に飲食店「てのべたかだや 北浜茶寮」をオープンした。

 同社が運営する飲食店としては、2020年に本社併設で開業した「てのべたかだや 桜井本店」に続く2号店。初の都市型店舗として、三輪素麺を日常的な食事として提案しながら、手延べそうめんの新たな可能性を発信する拠点を目指す。

 創業92年の同社は、「三輪の神糸」ブランドを中心とした家庭用商品のほか、近年はコンビニエンスストア向け調理麺など業務用分野でも採用を広げるなど、三輪素麺業界を代表するメーカーの一社。飲食事業では、伝統食品を現代のライフスタイルに合わせて再提案し、需要創出につなげる取り組みを進めている。

 三輪素麺は、約1300年前の奈良時代に起源を持つとされる日本最古の手延べそうめん。保存食として作られていた「麦縄」が時代とともに細く長い麺へと発展し、その製法が全国へ伝わった。現在も奈良県桜井市を中心に生産が続けられ、準強力粉を使用した細くコシの強い麺が特徴となっている。

 「てのべたかだや」は、「伝統と革新」をコンセプトに、三輪素麺を一年を通じて楽しめる料理へと昇華させるブランドだ。桜井本店では麺やだしを自由に組み合わせる創作そうめんをはじめ、奈良県産食材を使った総菜や甘味を展開。SNSでの話題も追い風となり、若年層や観光客を中心に来店客を増やしてきた。

 その実績を踏まえ、2号店は大阪・北浜へ進出した。観光需要の高い桜井本店とは異なり、ビジネスパーソンや地域住民など日常的な利用客を主なターゲットに据える。同社では「これまで三輪素麺と接点が少なかった都市部の消費者にもその魅力を知ってもらい、そうめんの新たな食シーンを広げたい」と位置付ける。

テラスから望む土佐堀川
テラスから望む土佐堀川

 店舗の認知向上についても、大々的な広告宣伝には頼らず、本店と同様に口コミやリピーターを積み重ねながら着実にファンを増やす考え。開店から間もないものの、すでに口コミで来店する客や固定客も生まれ始めており、髙田勝一社長は「一人ひとりのお客様に満足していただき、その輪が少しずつ広がっていけば」と期待を寄せる。

 店舗は京阪電車・大阪メトロ北浜駅から徒歩数分、土佐堀川沿いに立地。周辺は大阪証券取引所をはじめ金融機関が集積するオフィス街である一方、中之島エリアへも近く、美術館や公会堂など文化施設が集まる。近年は高層マンションや飲食店も増え、ビジネスランチに加え、観光客や休日利用など多様な需要が期待されるエリアとなっている。

 店内は43席。テラス席を含むテーブル席とカウンター席を備え、木の温もりを生かした落ち着いた空間に仕上げた。床にはカーペットを採用し、自宅のようにくつろげる雰囲気を演出。信楽焼の器を使用するなど、料理だけでなく空間や器にもこだわり、「本物」を体感できる店舗づくりを目指した。

 メニューは冷たいそうめん8種類、温かいにゅうめん11種類を中心に構成。和牛や鶏肉、キノコなどの食材を取り入れながら、和・洋・中のエッセンスを融合させた創作そうめんを展開する。看板商品の「極み鴨南蛮」は、歯応えと喉越しに優れた温かいにゅうめんに、脂の旨みを生かした鴨肉を合わせた一品だ。

看板商品の「極み鴨南蛮」
看板商品の「極み鴨南蛮」

 一方で、季節限定メニューは旬の食材を取り入れながら約2か月ごとに更新。従来のそうめんのイメージにとらわれない商品を提案し、「ここでしか味わえないそうめん」を打ち出す。

 また、時間帯ごとの利用シーンにも対応する。昼は食事、午後は甘味、夜はそば屋をイメージして酒と料理を楽しめる「そうめん酒場」として営業。奈良・桜井市の今西酒造が醸す「みむろ杉」や、麺づくりで使用するエキストラバージンオリーブオイルと同じイタリア産のワインなど、そうめんとの親和性を意識した酒類も取り揃える。

 甘味では、本店でも人気を集める「大和氷菓子」を5~9月限定で提供。奈良が「かき氷発祥の地」とされる歴史も織り交ぜながら、食後需要やカフェ利用の取り込みを図る。

 料理には化学調味料を使用せず、天然素材を生かしただしづくりを徹底。伝統の三輪素麺を軸に、食材や器、空間まで含めた価値を提案することで、「そうめんは夏だけの食べ物」という固定観念を覆し、新たな市場開拓に挑戦している。口コミを通じて着実に支持を広げながら、都市部から三輪素麺の新たな魅力を発信する拠点としての成長を目指す。

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