6月下旬からプリマハム代表取締役社長に就任予定の阿部邦明氏。伊藤忠商事時代に所属した食料カンパニーでは食品の流通や開発などに携わり、ファミリーマートへの出向も経験。常に生活者に近い領域でビジネス感覚を磨いてきた。
業界全体の生産量がやや落ち込んだ昨年も、同社コア事業のハム・ソーセージは市販品の伸びが寄与してプラスで着地。食肉事業も好調だ。他方で、主にコンビニ向けの惣菜ベンダー事業は苦戦した。新たなリーダーとして、社業をどう導くのか。
「プリマハムには、お客様に支持される素晴らしい商品がたくさんある。シェアNo.1のハム・ソーセージのほか、食肉でも強い商品を持っており、これらを引き継げることを楽しみにしている。間違いのない商品をお客様にお届けすることを第一に経営していきたい」。
10年以上にわたり成長を続け、ウインナー市場で首位に上り詰めたロングセラー「香薫あらびきポーク」。発売25周年を迎える来年に向けて、一層のファン拡大に余念がない。

さらに「香薫に続く次の柱を一つ二つとみんなで作っていくとともに、強いものをより強く伸ばす経営をしたい。そのために、スピード感のある適時適切な意思決定ができるようにする」と意欲を示す。
一方で、課題は3つあるという。
「明確なのは(子会社の)プライムデリカのベンダー事業。これをいかに黒字化させるかが最大の課題だ。また海外の事業会社も円安などを背景に収益力に苦しんでおり、どうカバーしていくか、またビジネスチャンスでもある海外事業をどう広げるかも考えねばならない。もうひとつは養豚。老朽化した設備もあるので、生産効率を上げて力強い事業に変えていく必要がある」。
“攻め”の展開加速 次は?
伊藤忠商事の連結子会社でもある同社。グループの一員としての存在感も高めたい考えだ。
「(伊藤忠グループで)コンシューマー商品のブランドを持って商売している食品企業はそう多くはない。消費者接点として戦略的に非常に重要な子会社であり、われわれだけではできないことも伊藤忠の力を使って実現したい」。
現在の売上規模は業界3位。上位2社とはまだ開きがあるとみて「チャンスがあれば、M&Aも含めて構造的に変化させていきたい」との野心も隠さない。
阿部氏にバトンを託す千葉尚登氏(会長に就任予定)は「私が社長に就任して丸8年。この間にいちばん感じたのは、社員の成長だった。おとなしい人が多かったが、おとなしくない経営陣が上にいるので、社員らもそれを見ていたのだろう。人が育ったタイミングで後継者にバトンタッチできたのは良かった」と喜ぶ。
昨年には「ギルティソーセージ ガーリックバターチーズ」を発売。食肉加工品で“ギルティ消費”の獲得に先鞭を付けたのに続き、今春にはベーコン、フライドチキンの追加でシリーズを拡充。さらに全米No.1ソーセージ「ジョンソンヴィル」ブランドから、日本の食卓や弁当でなじみ深いウインナーを初投入するなど、攻めの姿勢が目立つ。阿部新体制のもとで、次はどんなワクワクを見せてくれるのか。期待したい。
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阿部邦明(あべ・くにあき)氏=91年4月、伊藤忠商事入社。食品開発部長、リテール開発部長、執行役員生鮮食品部門長などを経て23年4月からプリマハム監査役、今年4月から社長執行役員。6月下旬に代表取締役社長就任予定。24年から伊藤忠商事上席執行理事も務める。57歳。



