ネスレ日本は、濃縮コーヒー「ネスカフェ エスプレッソベース」に同社濃縮飲料カテゴリで過去最大規模のマーケティング投資を行う。
世界的に市民権を得つつあるアイスコーヒーで若年層などのエントリーユーザーを取り込みたいとするネスレグローバルの戦略の一環。
5月15日、取材に応じたネスレ日本の村岡慎太郎飲料事業本部コールドコーヒービジネス部部長は「ネスレ日本は1960年頃からアイスコーヒーの文化を醸成してきたという自負がある。濃縮コーヒーについても『ネスカフェはコーヒー感がしっかりしている』とのポジティブなお声を頂戴していることから、今年、しっかりと投資をしてお客様を増やしていきたい」と意欲をのぞかせる。
この考えのもと、4月27日、同社濃縮飲料カテゴリで初となるTVCMを投入。6月上旬以降にも第2弾・第3弾の新バージョンのTVCMを投入していく。
マーケティング投資額は「規模でいうと昨年の2倍というレベルではなく数倍」と胸を張る。
初年度となる昨年の展開では、コーヒーのおいしさに加えて、1本で約15杯分つくれる経済性や同居家族それぞれの嗜好に対応してシェアできる点が支持され、ECで高得点のレビューを獲得したほか店頭では高いリピート率を叩き出した。
今回の過去最大規模のマーケティング投資は、昨年いまひとつだった店頭配荷率を一気に引き上げることなどを目的としている。
流通に向けて、TVCMとWEBCMの投下に加えて、インフルエンサーを活用したSNS施策、売場への濃縮コーヒーの割り材提案、ボトル・パッケージの刷新を組み合わせた総合提案を行ったところ、導入が急拡大。
「配荷率は昨年の2倍となり全国の売場の半分以上に置かれるようになった」との手応えを得る。
濃縮コーヒー市場が拡大傾向にあることも配荷拡大を後押ししたとみられる。
インテージSRI+によると2025年の濃縮コーヒー市場は金額ベースで2022年比約1.5倍に拡大。今年に入っても引き続き拡大傾向にあり2ケタ伸長を維持しているという。
マーケティング投資には、濃縮コーヒーそのものの認知拡大を図る狙いもある。
「濃縮コーヒーはどんどん受け入れられているが、まだまだ認知が低い。我々のビジネスもそうだが、カテゴリ全体を盛り上げていくというのが、今回のやりたいこと。濃縮カテゴリに対して我々は今回投資をした」と力を込める。

飲料事業本部コールドコーヒービジネス部の常盤馨ブランドマネージャーは、濃縮コーヒーが選ばれる理由に、スペースパフォーマンスとコストパフォーマンスに優れていることに加えて、自由にカスタマイズできる点を挙げる。
公式サイトではカスタマイズ性を訴求すべく50種類のアイスドリンクを紹介している。
今回、インフルエンサーを起用した施策では、カスタマイズ性の訴求にフォーカス。
SNS総フォロワー数1300万人を超える15人のインフルエンサーを「濃縮割り師」として任命し、5月から9月までの期間、全5つのお題に沿って考案したオリジナルレシピを、毎月15日にそれぞれのSNSに投稿する新プロジェクトを開催した。

新プロジェクトには「20・30代若年層の、普段あまりコーヒーを飲まれない方たちにとって最初のコーヒー体験を、この『ネスカフェ エスプレッソベース』で作っていきたい。コーヒーはもう黒と白だけではなく、自分らしくアレンジして自由に自己表現できるアイテムとなる。日本のコーヒー文化をアップデートしていきたい」との想いを込める。
インフルエンサーが投稿したレシピは一般参加者による人気投票で順位が決定される。
競い合わせることで「自分がフォローしているインフルエンサー以外のレシピも気になる」といった気持ちを促し濃縮ムーブメントを起こしていく。
新プロジェクトは、店頭活動とも連動。全5つのお題の第1弾にはアーモンドミルクのアレンジレシピを選定。「小売店のテーマに沿ってやっていきたい」との考えのもと、一部の小売店ではアーモンドミルクとのクロスMDを展開しているとみられる。

店頭で割って楽しむ特性がひと目で伝わるように、ボトルはコンパクトながら存在感のある丸みを帯びたアイコニックなボトルに変更。6月から順次差し換えて発売していく。
パッケージデザインにも磨きをかけ、前面上部に「約15杯分」と明記し濃縮コーヒーであることをより分かりやすく訴求。
加えて、前面にはカフェラテ、裏面にはブラックと表裏で異なる完成した一杯のグラスをモチーフにしたビジュアルを採用してカスタマイズ性を表現している。新ボトルは第2弾のCMから登場する。
ネスレ日本は1月1日付でコールドコーヒービジネス部を新設し、濃縮コーヒーを含めたアイスコーヒーのマーケティングを強化している。
消費者行動研究所「飲み物調査」によるとコーヒーのアイス飲用率は1993年の23%から2025年に41%へ上昇し32年間で1.8倍となった。
「特に20代男女でみていくと、半分以上がアイスコーヒーを飲まれているというトレンドもありアイスコーヒー市場は年々拡大しており楽しみ方も多様化している」との見方を示す。
アイスコーヒーの主なポートフォリオは、日常使いには「ネスカフェ ボトルコーヒー」が対応し、浅煎りのコーヒーにフルーツの酸味や香りを掛け合わせたリフレッシュメントドリンク(スティックミックス)「ネスカフェ クーラー」ではノンコーヒーユーザーに向けて訴求している。
そのほか、冷たい水にサッと溶けるという機能価値などを有した「ネスカフェ アイスブレンド」やスターバックスブランドとして日本初となる濃縮飲料「スターバックス コーヒークラフト」を取り揃える。
「ネスカフェ エスプレッソベース」はコーヒーエントリーユーザーに向けたものとなり、ポーションとは今のところカニバリを起こしていないという。
濃縮コーヒーの中ではまずは「ネスカフェ エスプレッソベース」への投資を優先している。
ネスレグローバルでは2022年に濃縮コーヒーを強化していく方針を固め、2024年5月にオーストラリアで「ネスカフェ エスプレッソベース」を発売開始。以降、同商品は、ニュージーランド、アメリカ、日本を含むアジア各国、イギリス・アイルランドで発売され、2026年からはヨーロッパ10カ国でも展開される。



