日本酒造組合中央会は、提携先のフランスソムリエ協会や国際ソムリエ協会らの協力を得て、このほど世界各国からソムリエ協会の代表やコンクールの優勝・受賞歴を持つトップソムリエ5名(アジア1名、欧州3名、南米1名)を日本に招へいした。11月22日には「世界から見た日本酒」をテーマにトークセッションを実施。各国での市場動向や今後の可能性などが語られた。
5氏は海外の高級レストランの現場で日本酒を提供している。フランス出身のLouis Le Conte氏は「チーズと日本酒のペアリングにポテンシャルを感じている」ことを強調。特に「カマンベールやブリ―などクリーミーなチーズには純米大吟醸のようなお酒が抜群に合う」と話した。
もう1つのおすすめとしてデザートと相性が良いことを紹介。「ワインだとドライになり過ぎてしまう場合、甘さが感じられる日本酒の方が向く。例えばミルフィーユであれば自信を持ってにごり酒とのペアリングをおすすめしたい」と語った。
トークセッションに先立ち、トップソムリエの5名は11月17~21日の日程で宮城県と秋田県の酒蔵をはじめ、日本文化や発酵技術に関連する施設を訪問。多面的な体験を通じて日本酒の魅力や可能性を深掘りした。
ベトナムのAndrew Truong氏は「日本の酒蔵は伝統的な技術や考えと近代的な設備やアプローチを共存させていることが印象に残った。ベトナムの日本酒マーケットはまだ新しいので、良い情報と商品を届けていけば市場の未来は明るい」とコメント。
スペインのGabriel Lucas氏は「欧州のファインダイニングや高給レストランで日本酒は浸透しつつある。ただし純米大吟醸などプレミアム路線が先行しており、個人的には今後カジュアルな層にも手に取っていただけるように広げたい。蒸留酒に比べて低アルコールであることや、普段ワインを飲んでいる層への訴求にチャンスがあると思う」。
ブラジルのJulio Cesar Kunz氏は「ブラジルでプレミアムアルコール飲料の市場は伸びている。ワインの次に来るクラフト飲料は日本酒だと思う。ブラジルは日系の移民コミュニティがあり日本食レストランは多いが、日本酒はもっと理解してもらうためのアクションが必要。独自の個性を活かして存在感を高めていけるはず」と展望した。

