アサヒグループホールディングスのシステム障害による余波で、ビール各社による出荷調整が始まった。アサヒビールの出荷が滞っていることから、同社製品からの切り替え注文が他の大手3社に殺到。主に業務用市場で需給ひっ迫が強まっているため。
業務用の瓶・樽について、サッポロビールは10月3日から出荷調整を開始。サントリーもすでに一部実施しているほか、キリンビールも9日から出荷調整に入る。こうしたケースは異例。今のところ業務用の対応が中心だが、家庭用の缶に限ればアサヒ「スーパードライ」だけでも国内ビール販売量(容量ベース)の3割程度を占めるとみられ、他社によるカバーは困難。このまま書き入れ時の年末にさしかかれば、ビール市場全体への打撃も懸念される。
なおアサヒビールでは、全国6工場での製造を2日から再開。「スーパードライ」(缶・樽・瓶)の出荷を一部再開したほか、「アサヒ生ビール」など主要製品も15日から出荷を一部再開するとしている。今月に予定していた新商品9品は発売を延期する。