腸内細菌や乳酸菌が免疫や睡眠、肌、生活習慣病に影響することが注目される中、従来の「体によい菌を摂る」段階から一歩進み、腸内環境を見える化して自分に合った乳酸菌を選ぶ取り組みが広がりつつある。食品やサービスの開発も活発化しており、腸活は個人の健康管理の新たな手段としてさらなる拡大が期待される。
江崎グリコは9月3日、都内で「Glico 食と健康の科学セミナー」を開催。国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所ヘルス・メディカル微生物研究センター長の國澤純氏が登壇し、腸の働きと乳酸菌の健康への可能性を解説した。
國澤氏は、腸活で重要なのは「消化管としての働き」と「免疫」の二つと指摘。腸は食べ物を吸収するだけでなく、蠕動運動で免疫細胞が活発に働き全身に影響を与える。腸で教育された免疫細胞は鼻や皮膚などでも効果を発揮し、免疫が低すぎれば感染症に、高すぎれば花粉症やアレルギーなど過剰反応を起こすため、過不足のない「ちょうどいい免疫バランス」が健康の鍵になるという。
近年は、腸内で有用物質を作る環境を整える「ポストバイオティクス」が注目される。例えば、乳酸菌や腸内細菌が食物繊維を利用して短鎖脂肪酸を作り、腸のエネルギー源や免疫の働きに役立つ。菌の摂取だけでなく、腸内で菌が連鎖して働く環境を整えることが重要だ。
将来的には、自分に合った菌環境をデザインする「見える化」が広がる可能性がある。現在は高額な検査費用も、必要な菌だけを簡易に調べられるワンコインのキットが普及すれば、身近な場所で手軽にチェックできる時代も期待される。
江崎グリコの「BifiXヨーグルト」はビフィズス菌BifiXと食物繊維イヌリンを配合し腸活をサポート。独自株「GCL1815株」は風邪の自覚症状発症を抑える効果が確認され、菓子「ビスコ」のクリームにも活用されている。