サントリー食品インターナショナル、飲料メーカーが豪州で酒類「-196」を製造販売 ナチュラルエナジードリンクにも期待感

 サントリー食品インターナショナル(SBF)は、コーヒー・ティー・エナジードリンク・RTD(アルコール飲料)をグローバル展開の戦略カテゴリーと位置づける。

 このうちRTDカテゴリーについてはオーストラリア(豪州)の新工場で今春からRTD「-196」の製造を開始し、7月をめどに現地の酒類専門チームが発売開始する。

 そもそも豪州では、サントリーグループのサントリーグローバルスピリッツ社(SGS、旧・ビームサントリー社)が協力会社に酒類の製造・販売を委託していたが、協力会社との契約満了に伴いSBFが受託する運びとなった。

 受託にあたり、SBFは当時、オセアニアではニュージーランド(NZ)・オークランドにある自社工場で生産した飲料を豪州に輸出。輸出で賄い切れない分は豪州の協力工場に製造委託していた。

 かつてオセアニアでのサントリーの売上規模は豪州よりもNZのほうが大きかったが現在は逆転。
 豪州での事業拡大に伴い、サプライチェーンネットワークを安定させる狙いから、豪州に飲料・酒類兼用の新工場を建設し、2024年9月に稼働開始した。

 5月20日、取材に応じた小野真紀子社長は「日本では飲料と酒類は棲み分けられているが、豪州では我々のビジネスで初めて酒類を扱うことになる。飲料の営業チームで酒類を扱うのは難しいが、訪問先は飲料と同じチェーンであったりするので、昨年くらいからリクルートを開始し酒類専門のチームを立ち上げた。7月の発売に向けて準備万端整っている」と力を込める。

 豪州で酒類を手掛けることで商品の領域を広げ新規顧客との接点強化を図る。

 「同じ製造工場と販売網を活用して新たなお客様をリクルートでき、新たなカテゴリーにポートフォリオを拡充できるといったメリットがある」とみている。

「CELSIUS(セルシウス)」
「CELSIUS(セルシウス)」

 今後のSBFによる酒類製造販売のエリア拡大については、各国の酒類製造販売に関する規制などを踏まえた上で、SGSなどとの協議の上、検討していく。

 エナジードリンクについては、「V」や「ルコゼード・エナジー」に加えて「CELSIUS(セルシウス)」に期待を寄せる。

 「『セルシウス』はナチュラルエナジードリンクとしてアメリカで物凄く伸びており、こことパートナシップを結ぶことができた」と語る。

 コーヒー・ティー・エナジードリンク・RTDの戦略カテゴリーに注力しつつ、グローバルブランド創出にも取り組む。

 「既存ブランドをもっと強くしていく仕事をやりながら、戦略カテゴリーを少し加速していく。これに加えてグローバルブランドもできれば作っていきたい。市場によって嗜好は異なるが、結構似通ってくると思う。エナジードリンクやハイドレーション的なもの、健康軸に収斂されてくると。共通のブランドを出せるチャンスが出てくる可能性がある」とみている。

 ブランドの展開エリア拡大にあたっては「他のエリアに進出する際は、原液を輸出したほうが知的財産(IP)を守れることから、そこはもう少し開発も含めてやっていかなければいけない」との考えを明らかにする。