台北市で開かれたアジア最大の食品展示会「FOOD TAIPEI 台北食品展」には、台湾内外から多くの企業が参加した。
日本のコシヒカリを気候の異なる台湾で栽培することはできないが、遺伝子を95%残したまま改良し、それを可能にしたのが「台湾越光米」。米工場の芳栄官方は「独自の味やつや感がある」と説明する。コメ不足の日本から引き合いがあり、主に業務用で使われる「金谷米」を初めて出荷した。
健康や環境をテーマにした未来フードのコーナーでは、「OatBella」ブランドのオーツミルクをPRしていた。牛乳の代替として、BtoBで広がっている。欧米ではすでに浸透しており、台湾や日本を含むアジアを今後の成長マーケットと位置付ける。「ユーザーの用途に合わせ粉末や液体で提供できる。技術とキャパを強みに拡大したい」と意気込む。
食品だけでなく製造や包装の機械も多く並んだ。インタビューに応じた台湾食品暨製薬機械工業同業公會の宋奇沛理事長は「世界で人手不足が課題となっている。台湾で製造する機械の品質は海外と比べそん色ないが、小規模の企業が多く海外展開するにはノウハウや人材が不足している」と説明。「日本にも売り込みたいと考えており、そのためにも有力なパートナーが必要だ」と強調した。

ANKOブランドで、餃子や春巻きなどの製造機械を販売する安口食品機械。売上の95%が海外で、販売先は小さなレストランから大型プラントを持つ工場まで、世界114か国に及ぶ。
力加減を調整できるのが特徴となっており、熟練した職人でも1分15個しかできない餃子を100個製造することができる。「人手不足で長時間労働が敬遠される中、現場ではさらなる自動化が求められている」とリチャード・オウヤン総支配人は話す。
日本からも売込み
今回は日本のパビリオンも設けられ、多くのメーカーがイチ押しの商品を売り込んだ。東洋ナッツ食品は日本国内で人気の「焦がしキャラメルナッツ」を紹介。「台湾では日本以上にナッツがよく食べられる。素焼きのものは地元にあるので、コーティングした製品で違いを訴求したい」(業務グループ)。輸出を見据え、賞味期限の延長に取り組んでいる。

はくばくは、もち麦をアピール。市販用は日系の店舗ですでに販売しており、今回は飲食店などへ向け業務用商品を提案した。また、コメの粒の形に合わせ削った米粒麦も紹介。「豊富な食物繊維など、もち麦の特徴をしっかり伝えたい」(海外事業室)と意気込む。
介護食の現状を報告
期間中に開かれた「フードイノベーションフォーラム」では、食の未来へ向けた各国の取り組みが報告された。日本からは日本介護食品協議会の森佳光会長が登壇。
「日本は世界でも例を見ないスピードで高齢化が進んでいるが、台湾も2050年には高齢者の割合が40%台になる」と指摘。「少食や偏食はフレイルにつながる。エネルギーのある食物を取り、栄養面を重視しなければならない」と呼びかけた。「介護食品への意識は高まっているが、認識はまだ低い」とした上で、在宅介護士を通しユニバーサルデザインフードの普及を進めている事例などを紹介した。