ウェルネオシュガーの中期経営計画「WELLNEO VISION 2027」(2024年度~2027年度)が2年目を迎えた。同社は昨年10月、傘下の伊藤忠製糖と日新製糖を吸収合併してスタート。「Food&Wellnessの事業拡大」「Sugarの基盤強化」「人的資本経営の推進」「サステナビリティ経営の推進」を重点戦略に掲げ、フードサイエンス事業と砂糖事業の両輪で事業の強化・拡大を狙っている。
5月28日の決算会見で山本貢司社長は、中計初年度(2025年3月期)の実績を踏まえ「最終年度の目標達成(営業利益+持分法による投資損益=101億円)に向けて順調に進捗している。今後も基本方針は変わらず、砂糖事業で培った技術を起点とした機能性素材へと幅広く展開し、消費者の皆さまのWell―beingを実現したい」と力強く語った。
今年3月には東洋精糖を子会社化。「東洋精糖のグループ合流で、機能性食品素材や医薬・化粧品素材のラインアップが強化される。当社の強みであるオリゴ糖などフローラデザイン素材に、同社のルチン、へスペルジンなどのポリフェノール素材やその機能性の根幹となる糖転移技術が加わる。素材と技術の掛け合わせにより、フードサイエンス事業でシナジーを創出する」と強調した。
既存の腸内・口腔フローラデザイン素材への期待も大きい。「『沖縄・奄美のきびオリゴ』(フラクトオリゴ糖)はTVCMの展開により前年比130%伸長。ガラクトオリゴ糖は生産能力増強のため、今年3月に千葉工場内に『美浜バイオプラント』を竣工し稼働開始している。また、世界で当社のみが製造・販売する口腔フローラ素材・サイクロデキストランも増産に向け今年度中に設備投資の予定」としている。
一方、「Sugarの基盤強化」では、東洋精糖の子会社化に続き今年10月には子会社・第一糖業を吸収合併。今後、ウェルネオシュガー単体3工場(うち共同生産工場は1工場)、第一糖業1工場(自社工場)に東洋精糖1工場(共同生産工場)が加わり、全国を5工場体制でカバー。最適な生産・販売体制の構築により、中計期間で約15億円(営業利益ベース)の統合シナジーを目指す考えだ。
「物量を生かし、原料・包材などさらなる調達力の強化、グループ生産体制の最適化を図る。物流面では輸送方法・物流拠点などデータに基づいて検討しコスト削減を進め、営業面でも販売データに基づいた最適化を進める。また、シナジー拡大をサポートする施策として、2026年度にも基幹システムの統合を目指す」。
令和6砂糖年度の国内砂糖消費は175万tの見通し。コロナ禍の消費急落から持ち直しているとはいえ、中長期的な漸減傾向は続いている。山本社長は「今後もさらなる業界再編、工場の集約化が予想される。当社としても砂糖事業の基盤強化を追求するとともに、柔軟に生産拠点の最適化を推進する」としている。
