「少数派」着目した商品開発 セブン-イレブン、潜在ニーズ掘り起こし客層拡大へ

セブン-イレブン・ジャパンは、若年層や訪日客の消費動向をこれまで以上に注視し、商品戦略に生かしていく。そのなかでキーワードとなるのが「アンコンシャス・バイアスからの脱却」だ。従来のボリュームゾーンを狙った商品開発から、「少数派でも潜在ニーズが高いであろう商品」を掘り起こし積極展開することで、さらなる客層拡大を図る。

「若年層や訪日客はメーンの顧客層に比べれば人数が少ないが、与える影響度は非常に大きく重要。国内であまり注目されてこなかったチューブタイプのわさびがインバウンドを機に売れるなど、まだまだ宝の山が眠っている」とオペレーション本部オペレーションサポート部オペレーション情報副総括マネージャーの吉村浩司氏は説明する。

両者はいずれもSNSを起点に口コミが拡散され人気が高まる共通点がある。今後は販売ボリュームだけでなく、「影響度」や「将来的な拡販可能性」も重視していく。

吉村氏によれば、若年層に売れる商品は全世代平均と大きく異なる。例えば全世代平均で売れ筋63位の「直巻おむすび 旨辛ビビンバ」は若年層で15位、全世代平均で127位の「セブンプレミアム まるで濃密芋」は若年層で23位とギャップがあり、「平均値を参考に品揃えすれば、自然と年齢が高い人向けの商品に偏る可能性がある」と捉える。

“売れ筋商品の高齢化”が進んだ象徴的な例として、「ミニ冷やし中華」を挙げる。

60代以上の「ミニ冷やし中華」購入比率は22年に50.2%、24年に54.3%と増加したのに対し、20代以下は3.2%から2.1%に減少していることなどから「毎年のトップ売れ筋だが客層は拡大していない」と捉えている。

一方、若年層に支持されSNSを起点に客層も広がった例として「グミ」を挙げる。「若年層に目を向けた商品の拡大が、客層の拡大ひいては全体の売上拡大につながる」(同)。

今後はこれまでの常識に捉われず、時代や地域のニーズに合った品揃えで顧客満足度を高めていく。「韓国や中国の方が多く来店する店ではおでんを始める店もあるし、SNSで拡散されて冬に大きく売れたアイスもある。変化するニーズにスピード感をもって対応していく」と力を込める。

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