がごめ昆布の養殖に特許製法で取り組む富山県の水産研究所など同県が取り組むカーボンニュートラル戦略の一環で、地元富山の未来を担う若年層を主な対象にした「ブルーカーボンセミナー」が4月26日に初めて開催され、富山市内の小学生と保護者、高校生など約40人が参加した。主催は水橋漁民合同組合で、同戦略に2年前から取り組む「かね七」などが協賛した。
富山県カーボンニュートラル戦略は、温室効果ガス排出量を30年に13年比で53%減、50年に実質ゼロを目指すもの。その取り組みの一つとして、「がごめ昆布養殖実証実験」を通して海藻などによる海の二酸化炭素を吸収・貯蓄する「ブルーカーボン」について、理解や認知の浸透を図るのが、セミナーの趣旨にある。
「がごめ昆布養殖実証実験」は、水産研究所と富山県内の5つの漁業協同組合が連携して取り組んでいる。2009年に特許申請し、がごめ昆布の生息地(北海道南部や青森県の一部)以外の本州で初めて養殖に成功し、現在は同組合が本格的な養殖につなげるべく取り組みを推進しており、地元富山で昆布巻きなどを製造販売する「かね七」も、「地球温暖化削減」「水産資源の大幅な減少に対する地域の藻場再生」「昆布資源の大幅減少に対する北海道以外での養殖活性化」「地元の漁師や加工業者を守る安定雇用促進」などを目的に、支援・取り組みを進めている。
セミナーでは、参加者はカーボンニュートラルやがごめ昆布実証実験などの講座のほか、かね七本社に近い富山・水橋漁協でがごめ昆布収穫作業見学などを体験。昼食時は、かね七が開発中の「がごめ昆布入りえごまと白えびふりかけ」などの試食もあり、参加した子どもたちからは「ふりかけの香ばしさがごはんによく合う」と大好評だった。
かね七の金盛哲也取締役営業部長は「当社は魚や海藻など海にかかわる原料を取り扱うことで商いをさせていただいており、資源の確保は非常に重要。資源が生育できる環境作り等も当社の役割と認識している。また、養殖収穫量増で漁協従事者の安定収入確保につなげていくことが、二酸化炭素排出ゼロの助けにつながっていく」と抱負を述べ、今後については、セミナーや学校出前授業の開催、がごめ昆布を富山県の新名産とするなどを目標に、取り組みを継続する。
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