味の素 夏の長期化で「五季」出現 「五季そうさまプロジェクト」始動

夏の長期化により、季節が四季から五季に変わりつつあることを背景に、食生活が大きく変化。

味の素社が販売し、和の食卓を広げてきた和風だしの素「ほんだし」も対応が迫られている。そこで夏と秋の間の暑い時期を新たに五番目の季節「まだなつ」と名付け、食を通じて新しい季節を快適に過ごすための「五季そうさまプロジェクト」を立ち上げた。

味の素は25日、漁業情報サービスセンターの渡邉一功部長、スーパーアキダイの秋葉弘道社長、料理人の東山広樹氏を招いてプロジェクト発足発表会を開催した。この中で味の素コンシューマーフーズ事業部シーズニンググループの三科光彦氏は、「昔に比べて夏の終わりが1ヶ月以上長引き、四季にズレが生じている。夏が長引いた結果生まれた五番目の季節(9月上旬から10月上旬)を“まだなつ”と名付けたが、WEB調査の結果、この時期は料理のモチベーションが低下し、キッチンが暑くて料理が苦痛、秋まで暑いので秋の旬の食材を食べる機会がなくなった、素麺や冷やし中華メニューが続き、レパートリーが困ったなど様々な悩みが寄せられた」と言う。「和の食卓の可能性を広げ続けるというブランドミッションを掲げ、季節や旬の概念がかけがえのない存在と捉えてきた“ほんだし”も、季節変動の影響は大きい」とし、「暑さから自炊意欲が低下することで“ほんだし”の売れ行きも影響している」と語っている。

長引く夏の影響について漁業情報サービスセンターの渡邉氏は、「夏は暖かい場所の痩せたサンマしか漁獲できず、量も非常に少なくなり、太ったサンマが出現するのが、9月終わりから10月になるなど、サンマの旬にズレが生じる」と説明。スーパーアキダイの秋葉社長は、「9月でもトマトなどの夏野菜が売れ、生で食べるサラダ系の商材の売れ行きが良いが、レンコンなど煮物で使われる秋野菜は売れにくい。9、10月は気温の乱高下も激しいので、売り場も日替わりで衣替えをするような感覚だ」とコメントしている。

こうした背景を踏まえ「五季そうさまプロジェクト」を始動。長引く暑さで料理や暮らしのモチベーションが下がる時期に少しでも快適に過ごしてもらうため、「まだなつ」時期に出回る秋食材を、暑い日でも作りやすく、食べやすく調理した「まだなつレシピ」を東山氏監修で提案する。

「まだなつレシピ」5種類
「まだなつレシピ」5種類

レシピは「 秋食材を暑い日でも作りやすく・食べやすくしたアレンジレシピ」として「黄ゆずの秋兆しそうめん」「夏越え秋鮭ガパオ」「慌てん坊のさつまいもスープ」。「マンネリしがちな夏定番のメニューや食材を使ったアレンジレシピ」として「まだキュウリの翡翠(ヒスイ)豆腐」「まだトマトの冷や汁」を提案し、今後はレシピ本の書籍化する。

プロジェクトでは、「まだなつ」が引き起こすさまざまな課題を解決するため、主旨に賛同した小売や食品メーカー、行政、料理人、生産者、飲食店などと連携しながら施策を展開。今後は食の領域に限らず、さまざまな企業と連携しながらプロジェクトを拡大していく予定だ。

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