乳業界新年祝う 中長期見据えた課題対応を 価値訴求と消費喚起に全力

乳業団体の合同新年賀詞交歓会が1月7日に都内で開催され、業界関係者ら850人が参加した。2025年も酪農業を巡る情勢は厳しい状況が見込まれるなか、持続可能な酪農乳業の将来に向けて、中長期を見据えた課題対応や消費喚起に業界一丸で取り組む。

一般社団法人日本乳業協会の松田克也会長は「2020年から続く飼料や燃料価格等の生産資材高騰は酪農経営に深刻な打撃を与えている。離農が加速し酪農家が減少すれば、酪農乳業界にとって重大な影響を及ぼす」と危機感を示したうえで、「これを食い止めるには、足元だけでなく『酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針』策定のための検討で議論されている中長期を見据えた課題に向き合い整理していく必要がある」と述べた。

喫緊の課題である脱脂粉乳の過剰在庫対策に向けては、令和5年度補正予算事業「国産畜産物利用安定化対策事業」を活用し「ヨーグルト消費拡大事業」とともに需要拡大に取り組む。議論を重ねてきた「適正な価格形成」に向けては「特定の業界だけにしわ寄せがくることなく、広く食品業界全体をカバーする公平な仕組みの検討となるよう要請していく」とした。

大貫陽一Jミルク会長は「消費者に牛乳乳製品の価値を伝えていくことが非常に重要なテーマ。酪農乳業の現状や課題の共通認識に立ち、業界の取り組みの見える化を図り次の成長ステージにつなげる」と力を込めた。

来賓あいさつでは農林水産省の松本平畜産局長が「今後は訪日外国人客の購買や輸出動向などを踏まえたうえで、需要を開きつつ生産していく段階に来た」と述べ、インバウンドや輸出など新たな取り組み強化による消費拡大にも意欲を示した。

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