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国内酪農家1万戸割れ 将来に向け経営構造の転換を

今年10月に指定団体での生乳受託販売農家戸数が05年の統計以降初の1万戸割れとなったことを受けて12月2日、一般社団法人中央酪農会議が会見を実施。菊池淳志専務理事は「酪農には栄養に富んだ牛乳乳製品だけでなく、国土保全や共存共栄する関連産業、地域循環の担い手などの役割がある。さらに衰退すれば地域コミュニティや地方の活力も落ちていく」と懸念点を示したうえで、未来の世代に国産の牛乳乳製品が届けられるよう協力を呼びかけた。

現状の酪農経営では、生産コストの半分を占める飼料をはじめ光熱動費など諸コスト、重要な収入源である子牛の販売価格が大きく減少していることなどが収益性悪化を招いている。

「指定団体では取引先乳業者や流通関係者、消費者のご理解をいただきながら複数回の乳価改定を行ってきたが、乳価上昇が生産コスト高騰に追いつかず、酪農家減少に歯止めがかかっていない。ここ5年間で4分の1の酪農家が廃業したことになる」と説明。

なかでも大規模経営における収益悪化が著しく、購入飼料、獣医師料、医薬品費、乳牛売却費、建物費、自動車費などの上昇が要因となっていることから「規模拡大による収益確保のあり方が壁に直面している」(北海道大学大学院農学研究員の小林国之准教授)。現状は収支に問題がない酪農家でも、以前は牛舎を建てるのに1頭当たり100万円と言われていた施設投資のイメージが2~3倍に上昇するなど次の投資が困難な状況だ。

(左から)菊池淳志専務理事、隈部洋副会長、小林国之准教授、酪農家3人
(左から)菊池淳志専務理事、隈部洋副会長、小林国之准教授、酪農家3人

小林准教授は「今回の酪農危機はこれまでの酪農の転換を迫るもの。縦割りの政策をいかに酪農地域という形で組み上げ直していくかが重要」と指摘する。今後は「自分たちの牛舎の大きさや餌の基盤などの条件のなかで、地域ごとに効率的な酪農経営や必要な支援サポートを考え直していくことが必要」と述べる。収益確保ができている経営から学ぶための情報共有もポイントとなる。

中央酪農会議が11月18~25日に実施した緊急調査では、回答があった全国236戸のうち83%が「経営環境が悪い」と回答。今年9月の経営状況については59%が「赤字」とし、離農を検討している酪農家は約48%にのぼった。

会見に参加した酪農家からは「機械の価格が2倍になり修理も困難。飼料、燃油、草地管理にも非常にお金がかかっているなかで少しでもいい餌を乳牛に与えて乳を搾る意気込みで経営している」といった声が聞かれ、消費者には「安定的な消費をお願いしたい」と協力を求めた。

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