明治は12月7日~来年4月末まで埼玉県水産物地方卸売市場内に、食品ロス削減を目指した初の直営店「明治ザ・ステナイファクトリー」をオープンする。「食品ロスを自分ゴトとして捉える方はまだまだ少ないと思う。賞味期限が残っていても破棄される商品がある実情を知っていただき、食品ロスやサステナビリティについて考えるきっかけになればいい」(企画部営業推進一課川本岳史氏)と期待する。
食品業界には、小売店舗などに対し賞味期間の3分の1以内に納品する慣例「3分の1ルール」がある。このルールのもとでは、賞味期限まで日数が残っていても出荷期限を過ぎたため販売できない商品が発生する。明治ではこうした商品をフードバンクや子ども食堂に提供しているが、ヨーグルトは要冷蔵で賞味期限が短いことから、廃棄削減が課題となっている。
店頭に並ぶのは出荷期限が過ぎた主にヨーグルト商品で、希望小売価格の4割程で販売する。需給状況によって販売する商品は変わり、値引き率も商品で異なる。11月28日のプレオープン時には「明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン(ドリンクタイプ)400g」(税別117円)、「明治 おいしい生クリーム」(200ml、同214円)、新商品の「美酢 のむヨーグルトざくろ180g」(同95円)などが並んだ。
最大の目的は、食品ロス削減に対する人々の理解醸成にある。「まずは試験的に運営し、このコンセプトが受け入れられるかお客様の反応をみて方針を決める。将来的には自社工場内に場所を設けたり、EC販売なども目指せたらいい」(グローバルデイリー事業本部デイリー企画部企画G堀義治氏)。
「明治ザ・ステナイファクトリー」は「サステナ」と「捨てない」を組み合わせた造語。様々な場所の候補が挙がったなかでも、明治の食品ロスの取り組みに共感した同市場への出店が決まったという。「メーカーはもちろん、お客様にも食品を捨てずに食べきるといったことをしていただき、世の中の食品ロス削減に一緒に取り組んでいきたい」(堀氏)。
お気に入りだという商品をケース購入した女性は「いつもコンビニで購入しているが今日は安く買えてうれしい」と喜んだ。