精糖大手ウェルネオシュガーグループの日新製糖は、9月25日から9月27日に開催される日本応用糖質科学会2024年度大会(第73回)で「技術開発賞」を受賞することが決まった。対象は「サイクロデキストランの製造方法開発と機能研究」。共同研究を行った山梨大学大学院の舟根和美教授とともに、日新製糖商品開発部の5人が受賞する。
サイクロデキストラン(CI)はグルコースが輪のようにつながった環状オリゴ糖の一種。虫歯や歯周病の原因となる歯垢の形成を抑制する効果があり、CIを含有する食品素材「CI-Dextran mix」は、ペット用歯磨き粉や菓子類、ペットフードなどオーラルケア商品向けに展開されている。
技術開発賞の受賞理由として、CIを実用化・商業生産するための原料(デキストラン)生産菌の分離、効率的な菌育種技術の開発・成功が挙げられる。また、CIが黒糖に含まれる天然物であると証明したことにより、CIの安全性を実証する上で大きな知見として評価されている。
CIが難溶性の物質を可溶化し、不安定な物質を安定化させる包接能が確認されたことも重要な研究開発成果とされる。「CI-Dextran mix」を可溶化剤として利用すれば、複数成分が混合した製品の加工特性を高めることが可能となる。
日新製糖では「技術開発賞は基本的に研究成果が社会実装できたものを対象としており、受賞は大変光栄なこと。今後もさらにCIの製造開発、新規機能や用途開発を継続し、CIを人々の健康維持に役立つ高機能な環状オリゴ糖として普及させていくことを目指していきたい」としている。