公益財団法人三島海雲記念財団(羽田正理事長)は5日、2024年度三島海雲学術賞ならびに学術研究奨励金贈呈式を都内で開催した。財団は「カルピス」創業者の三島海雲が、1962年に日本の繁栄のために、その基盤となる学術研究を支援することを目的に、自らの全財産を投じて財団を設立。今年で62年目を迎え、今回も学術賞受賞者や学術研究奨励金を受ける研究者など多数が出席した。
三島海雲学術賞は、創造性に富む傑出した研究成果を上げた若手研究者を支援することを目的としており、今回は自然科学部門では東京大学大学院医学系研究科の塚崎雅之特任准教授、同じく自然科学部門では岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域の門田有希准教授、人文科学部門では東北大学東北アジア研究センターの程永超准教授が受賞した。
また、学術研究奨励金は、将来に発展が期待できる優れた研究を支援するためのもので、今年は共同研究と個人研究を合わせて90件に贈呈した。その結果、62年間の学術研究奨励金の贈呈件数は2千314件で、贈呈金額総額は19億円を超えた。
受賞講演会に先立ち羽田理事長は、「財団が設立された当時、日本は高度成長期の真っ只中にあり、社会的な問題を抱えながらも活気づいていた。だが62年後の今日では世界各地で深刻な争いが絶えず、日本経済も順調とは言えない。62年が経ったいま、世界および日本は良い方向に進んでいると言い切れるだろうか。三島は、真の日本の反映は強力な精神を基盤として、物質的な進歩があるときのみもたらされると述べている。学術賞受賞者や奨励金を受ける皆さんは、三島の言葉を胸に刻み、研究に邁進することを期待している」など述べた。