一般社団法人日本外食品流通協会の小田英三会長は、5月22日に行われた総会後の懇親会で「人手不足を嘆くだけではなく、なんとか今のなかでモノを回していくことを考えなければ、これからの時代は乗り切れない。知恵を合わせてこの事態を乗り切っていきたい」と力を込めた。
23年度の外食市場は人の移動が盛んになりインバウンド需要も加速したことで、コロナ前の19年(24兆6千万円)に近い実績となった。小田会長は「業界にとって非常に喜ばしいこと」と評した一方で、業界一丸で取り組むべき課題点に2024年物流問題、人手不足を挙げた。「人手不足は、DXやロボット導入など生産性向上が解決策の一つと考える。昨年秋の講演会の後に各メーカーに賞味期限をQRコードで記入してほしい旨を伝えた。荷受け時間の短縮はメーカーの生産性向上に寄与し、検品時間の短縮がトラックの待機時間の短縮や、1台当たりの配送件数が増える好循環につながる」など説明した。
農林水産省の宮浦浩司大臣官房総括審議官(新事業・食品産業)は、物流2024年問題について「物流センターや中継拠点の整備などインフラとしての物流整備を進めている。皆さんも発注期間や商慣行について、自己縛りになっている部分で見直せるものは見直し、相談していただきたい」と呼びかけ、経済の発展および消費喚起に一丸で取り組む方針を示した。
賛助会員を代表し乾杯の音頭を取った滝英明ニチレイフーズ執行役員業務用事業部長は、「食品メーカーの決算をみると多くが増収増益と捉えている。売上はコロナ禍前よりも増えている一方で、コストアップの影響が25%ほどあり物量も戻っていないのが実情だ。24年度は技術や商品など、得意なところに力を集約していきたい」と述べた。
なお、役員改選では新理事(近畿)に松並孝至氏(松並社長)、新理事(中国・四国)に石井希典氏(アイスライン社長)、新理事(賛助会員)に山田秀春氏(キユーピー執行役員)が選任された。また、同協会では、24年度も交流と提案の場として大阪市で第74回外食産業フェア(9月4日、5日)、名古屋市で第35回NAGOYAフードビジネスショー(9月18日、19日)を開催する。