日本乳業協会の松田克也会長は、このほど開催した定時総会で「牛乳乳製品の栄養的価値、酪農乳業への理解醸成、消費拡大活動を連携して継続していく。
持続可能な乳業に向けては単に一企業のロスを減らすのではなく、業界全体の仕組みを最適化することで諸課題を複合的に解決していく」と述べ、課題解決に向けて一層の力を発揮すべく、関係各所へ協調を呼びかけた。
懇親会に先立ち、大貫陽一副会長は「価格形成あるいは生乳需給、配合飼料など様々な検討が進められているが、業界の発展にはやはり消費者の酪農乳業に関する理解醸成が不可欠だ」とし、改めて消費者理解の重要性を指摘。
佐藤雅俊副会長は「昨今、機能性表示食品の一部で表示や安全性に対する消費者の不安の声があがるなか、人々の安心安全や表示への関心の高さを強く認識した。
鮮度が非常に重要な牛乳を扱う酪農乳業界では、もう一段高い意識をもって安心・安全な商品を提供していく必要がある。そのうえで酪農乳業の啓蒙、消費の普及拡大で消費者の期待に応えていく」など語った後、酪農乳業界のさらなる成長発展を祈願して3本で締めた。
酪農乳業界の明るい兆しとして、2年連続で減少が続いていた生乳生産が2月以降回復基調にある。
また酪農乳業にとって重要な「酪肉近代化基本法方針」は5年に1度の見直しが予定されており、協会では「需給と価格の安定」「輸出拡大を含めた需要の確保」「生産性向上」の主に三つの視点で意見反映に努める考えだ。具体的には、昨年から参画する「適正な価格形成」の議論、牛乳乳製品輸出協議会の活動を通じて、価格の安定化や輸出拡大に貢献するほか、賞味期限延長、物流システムの改善、受発注や生産体制など「商習慣の見直し」に向けて官民一体で取り組む。
役員改選では新たに、長谷川敏副会長(福岡県牛乳協会会長)、宮崎淑夫専務理事(明治)、清瀧兼司常任理事(森永乳業)、久米仁司常任理事(協同乳業代表取締役専務)、熊谷優子理事(和洋女子大学教授家政学部長)、松崎浩樹監事(小岩井乳業社長)が就任した。